保釈中のカルロス・ゴーン元日産自動車会長が、無断でレバノンへ出国した。フランスのパスポートを所持していたという(「ゴーン被告、トルコで乗り換えか…仏のパスポート所持」 2020/1/3 読売新聞オンライン)。
この事件を聞くと、田中森一著「反転」(幻冬舎、p211~p216)に、山口組系暴力団宅見組の宅見勝組長が肝臓病治療で渡仏しようとした際(追記:当時、外為法違反事件の容疑に絡み勾留の執行停止中)、安倍晋太郎事務所が手助けし、駐仏大使が病院の手配をしたと書かれていたことが思い出される。組長の渡仏については検察庁にも根回しを済ませていたが、表沙汰になり大騒ぎになったために取り止めになったとも書かれている。
一昨年のゴーン氏逮捕後の11月20日、日産自動車の川口専務が、選挙区に本社所在地がある菅官房長官と首相官邸で会見していた(「ゴーン氏逮捕で日産専務執行役員、菅義偉官房長官に陳謝」 2018/11/20 産経新聞WEB)。日産自動車の社外取締役には経済産業省OBの豊田正和氏(現筆頭独立社外取締役、指名委員会委員長)もいる。ゴーン氏の出国で、彼の追い落としに参画した人々は一安心ではないだろうか?保釈中の無断出国は、保釈を決定した裁判所の責任にできる。検察庁としては公判維持に頭を悩ませる手間がなくなり、保釈に対する世間の目が厳しくなれば検察にとって悪いことではない。また、特捜部はIR関連でカネが流れた「事件」に専念できる。
不都合な事項は平然と書類を破棄してでも隠ぺいする体質の日本政府は、ゴーン被告の無断出国に遺憾の意は示しても、口先だけのことだろう。
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