投資家の目線

投資家の目線316(ロシアの資源共同開発案)

 ロシア高官が北方領土沖の原油ガスの共同開発を申し出た。原発による発電が難しい以上、検討に値する話だ(不二家の子会社で事務処理業務を行う、不二家システムセンターが鳥取に進出した。同社の社長は「鳥取は災害も少なく原発もない」と発言していた(2011/6/29 asahi.com My town 鳥取)。同社のような比較的設備投資の少ないサービス業でも原発のリスクを意識しだしている。原発の存在は、地域の原発関連以外の雇用のマイナス要因になってきている)。日ロ間には北方領土問題が存在するため難しい面はあるが、でなければ日本抜きで開発する可能性も報道されている(2011/6/29 日本経済新聞朝刊)。

 冷戦時代、ソ連の戦略潜水艦の巣だったバレンツ海では昨年大陸棚境界が画定した。同地域では資源開発が進むだろう。一方の巣だったオホーツク海は領土問題が画定せず、大陸棚境界も画定していない。

 北方領土問題の解決は難しい。鳩山一郎政権時代、重光葵外相は歯舞、色丹の二島返還で領土問題に手を打とうとしたが、ダレス米国務長官に国後・択捉をソ連に渡すなら沖縄は返さないと脅された。日露戦争当時、「外交 上」(ヘンリー・A・キッシンジャー著 岡崎久彦[監訳] 日本経済新聞社)によれば、『彼は、バランス・オブ・パワーからロシアを完全に排除するより、むしろ弱体化することを望んでいた。なぜなら、バランス・オブ・パワー外交の原則によれば、ロシアの弱体化を進めすぎれば、日本がロシアに代わって脅威となるであろうと考えていたからである。ルーズベルトは、アメリカにとって最良の結果は「ロシアを日本と対峙したままにさせ、そうすることにより、それぞれ相手に対して穏便な行動をとらせる」ようになることであると看取していた』と言っている。日本とロシアを対峙させるのは、アメリカの当時からの戦略だったと判断できる。よって、今回の原油ガス共同開発への回答は、今後の日・露・米の関係を占うものと考えるべきだろう。


 なお、原発問題に関してWSJ日本語版では次のような厳しい記事が連続している。日本の報道機関をどれほど信じていいのだろうか?

【コラム】日本企業の惰性の縮図、東電株主総会 HEARD ON THE STREET  2011年 6月 29日 8:36 JST

【インタビュー】日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏 2011年 7月 2日 13:02 JST

福島原発―逃された事故回避のチャンス 2011年 7月 2日 15:31 JST


 また、玄海原発再稼動についてはこんな話も。

九電が“やらせ”メール 玄海原発再稼働求める投稿 関係会社に依頼 国主催の説明会 2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」

考慮しておいたほうが良いだろう。
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・浜田和幸参議院議員が自民党を離党し、復興担当政務官に就任した。浜田氏は米国際戦略研究所(CSIS)に所属していた。また先週、アーミテージ氏はCSISが日米の経済界と連携して進めている復興支援プロジェクトの一員として来日していた。浜田政務官は一応、復興のカウンターパートとしては適格なようだ。


・6月28日、アフガニスタンで高級ホテル襲撃事件があった。治安が安定していないとして米軍のアフガン駐留長期化の口実にはなる。
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