投資家の目線

投資家の目線120(東和銀行の優先株式)

 8月10日、東和銀行は新生銀行に対して取得請求権付第一種優先株式を発行した。この優先株式は交付価額の下限108円、上限432円とする交付価額修正条項が付いており、交付価額は毎月1回普通株式の時価の92%で修正される。優先株式の形を取っているが、基本的には「汚名を着せられた」MSCBに酷似している(現に、割当先は取得請求ならびに同行普通株式の売却については、日本証券業協会の理事会決議「会員におけるMSCB等の取扱いについて」に則った運営を行うとしている)。
http://www.towabank.co.jp/whatsnew/20070726yuusenkabu.pdf
http://www.towabank.co.jp/whatsnew/20070731yuusenkabushiki.pdf
 民事再生法適用を申請した中堅消費者金融のクレディアに対する融資が焦げ付くおそれがあることなどから同行の株価は下落し、当初216円だった交付価額は9月25日以降172円になった(毎月第3金曜日修正)。調達金額が80億円だったので、もし現在の交付価額で全部転換されたとして計算すると、潜在株式数は46,511,628株(=80億円/172円)にまで増える。2007年7月26日現在の発行済株式数である241,597,650株で除した希薄化規模は19.3%にも達する。今年の株主総会で優先株式の発行が可能になるよう定款が変更されたようだが、同行の株主は、このようなMSCB類似型の優先株式発行を予想したであろうか?
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・クレディアの民事再生法適用申請は、予測できなかったのか多くの銀行で業績下方修正が見られた。結構広範囲にわたる問題になりそうだ。
・28日にIHIが2008年3月期(予想)の連結営業損益の大幅な下方修正(400億円の黒字→170億円の赤字)を発表した。過年度決算発表訂正の可能性もあるという。見積等に甘いものがあった報告されている。これは大いに問題視する必要がある。
http://www.ihi.co.jp/ihi/file/ir/10042_1.pdf
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