投資家の目線

投資家の目線604(トランプ大統領と馬会長)

 1月9日、アリババの馬会長がトランプ大統領(現在)に、米中西部を中心に中小企業を創出・支援したり、米国の農産物や衣料品を中国や東南アジアに輸出したりする取り組みを示した(『「米で100万人雇用創出」、アリババ会長、トランプ氏に。』 2017/1/10 日本経済新聞 夕刊)。トランプ氏の政策の1つに、スモールビジネスの振興があると聞く。財務長官となるムニューチン氏も指名公聴会で『「米労働者と中小企業のために、金融規制を一定に抑え、減税にも尽力する」(中略)「トランプ氏との全米遊説で、重い税金に苦しんでいる人々や中小企業の訴えを聞いてきた」』(「米次期財務長官、減税・金融規制緩和に意欲、中小の活力重視。」 2017/1/20 日本経済新聞 朝刊)と述べている。馬会長の取り組みはトランプ氏の政策に合致し、トランプ支持者の意向にも沿うものだと思う。また、地域の雇用を支えるのはスモールビジネスなので、州政府レベルでも歓迎するだろう。

 トヨタも米国で100億ドル投資するとアピールしていたが(「異例のアピール競争、トヨタ、5年で1.1兆円投資、米への貢献前面に。」 2017/1/11 日本経済新聞 朝刊)、トランプ大統領の目指す政策とは異なっているように思う。むしろ、現地での部品調達比率を上げた方が喜ばれるだろう。

 ソフトバンクの孫社長は12月6日のトランプ氏との会見で、米国の新興企業に投資し、雇用を5万人創出する計画を示した(「ソフトバンク、米に5.7兆円、孫氏、トランプ氏と会談、ファンド活用、IT企業に投資、5万人雇用創出。」2016/12/7 日本経済新聞 夕刊)。また、ソフトバンク系のスプリントや米衛星通信ベンチャーのワンウェブが合計約8000人を雇用するというが(『ソフトバンク系2社、米で雇用8000人拡大、トランプ氏「孫氏に感謝」。』 2016/12/30 日本経済新聞 朝刊)、新興企業もスモールビジネスに違いないが、孫氏の投資先はどちらかというとシリコンバレーやウォール街を向いていると思う。トランプ支持者にはあまり響かないのではないだろうか?

 スモールビジネスの振興は、地方に雇用を生み出し、地方創生につながる。地方創生をうたう安倍政権はトランプ政権を見習った方がいいと思う。
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