投資家の目線

投資家の目線332(欧州関連の話題)

 欧州債務問題に未だ解決策は見えない。しかし、2011/10/13日本経済新聞 夕刊にはこんな記事が。

引用開始

 幾多もの独立政府があった。おのおのが徴税権をもち紙幣も印刷した。中央の力は弱く、各政府の協力を仰ぐしかない。だが協力が得られることはまれだった――。
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 「この状況は何かに似てませんか」。欧州危機について聞かれ、こう答えたのは10日、ノーベル経済学賞の受賞が決まったサージェント・米ニューヨーク大教授だ。
 実は1780年代の米国の状況。当時13に分かれた各州は膨らんだ債務の返済にめどが立たず、債券価格は大きく元本割れ。これに手を打ったのが各州の債権者や後に大統領となるジョージ・ワシントン、その参謀で「強い中央政府」の支持者だったアレクサンダー・ハミルトンだった。
 合衆国憲法において、連邦政府に関税を徴収する権利を付与。各州の債務を連邦政府に移すとともに関税を大幅に上げ、債務返済に充てた。これにより債務危機は解決に向かったという。
 同教授は「我々(合衆国)は欧州が直面しているような問題に対処するための、決然たる解決策の中から生まれた」と指摘。「ユーロに関しては新たな論点はない。政治が決断できるかだ」と述べ、欧州危機の解決に230年前の米国に倣うべきだとの見方を示した。
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・・・以下略・・・

2011/10/13日本経済新聞 夕刊 ノーベル賞学者が見る「欧州」(ウォール街ラウンドアップ)

引用終了

 上の記事のように、もし欧州が230年前の米国に倣ったら、ユーラシア大陸の西端にアメリカ合衆国(The United States of America)を人口、GDPで凌ぐ、工業力を持った強力なUnion(European Union)ができる。いま、中華人民共和国が米国を抜くかどうかが話題になっているが、気がつくとその前にノーマークだった欧州に米国が抜かれ、その時点で世界の力関係が変化してしまいそうだ。そうすると米国は「負け犬」となり、負け犬を助ける戦略であるバランス・オブ・パワーの観点から日米関係の強化は支持される。米国がNo.1のときよりも、日本の相対的な価値は上がっているだろう。もっとも、2011/10/18FT紙の記事「米国が中国に覇権を譲る日」を読むと、米国内ではNo.1からの転落はあまり容認されていないようだが・・・。



 リビアのカダフィ大佐が死亡した。NATOもリビアの体制打唐ノ協力していたので、欧州諸国にも関係はあるだろう。近年はイラク、アフガンといい、体制を外部から打唐ウれた国々は、新体制の構築に苦労している。第2次大戦後のイタリアや日本では、国王や天皇という旧体制のトップを占領協力者に据えることで、占領を円滑に行ったようだ(参考文献:「昭和天皇・マッカーサー会見」豊下楢彦著 岩波現代文庫)。しかし、リビアなどでは旧体制のトップが排除され、イタリア・日本のモデルは使えない。しかも、NATO諸国には海外に大規模派兵する経済的余力がない。体制を打唐オたのは良いが、その先行きは混沌としたものになると覚悟したほうが良いのでは・・・。




 14日にオリンパスのマイケル・ウッドフォード社長が解任されたが、その影に過去の企業買収をめぐる資金の流れに関する問題があったようだ。同氏がイギリス人なこともあり、FTなど海外報道が先行し、日本のメディアが後追いする形だ(当方がはじめて知ったのはジャーナリスト岩上安身氏の10/16のTwitterに寄せられた記事だった)。


オリンパスは英社買収の顧問料で調査を、当局が関心も-外部報告 (2) 2011/10/17 Bloomberg


 報道によれば、大王製紙の創業家出身の前会長への巨額融資問題は立件の方向へ向かっているようだ。オリンパスの社長解任にはそうした動きも関連しているのかなと想像してしまう。

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