投資家の目線

投資家の目線568(三菱マヒンドラ農機と三菱自動車)

 三菱自動車が日産自動車から34%の増資を受け、同社の傘下に入るようだ。かつてのリコール隠し問題が記憶に残っている上に今回の燃料データの不正が重なれば、消費者の同社への不信感は抜き差しならないものであろう。三菱グループでは三菱商事は資源価格安による減損処理で最終赤字に転落し、三菱重工業も客船事業で大きな特別損失が発生している中では支援は難しく、同社単独での生き残りは難しかっただろう。

 三菱グループといえば、三菱重工業の子会社三菱農機(現三菱マヒンドラ農機)の事業再生の例がある。同社は2011年3月期に東日本大震災の影響による損失を受け債務超過に転落した。2011年末に三菱重工業の出資で完全子会社化され、さらに2015年にはインドのマヒンドラ・アンド・マヒンドラ社から33.3%の出資を受けて現在の三菱マヒンドラ農機となった。

 同社は2011年度から15年度までの5年間で、連結子会社を合わせて全従業員の4分の1強に当たる500人の人員整理を計画していた。2012年1月には製造部門がグループ会社のリョーノーファクトリーに移管されたが、その時若手もかなり辞めたと聞く。当時社宅があったところも、現在では整地されて戸建て住宅の団地に変わっている。またマヒンドラ社の資本が加わってからは、稲作向け農機よりトラクターの生産が多くなっているようだ。

 日産自動車はルノーの資本が入っているので、新生三菱自動車が外資の影響を受けるというのも三菱マヒンドラ農機に似ている。三菱自動車の事業再生による社会的影響を考える上で、三菱マヒンドラ農機は参考例となるだろうと思う。
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