投資家の目線

投資家の目線472(ODAとエコノミック・ヒットマン)

 自らがエコノミック・ヒットマンであったことを告白したジョン・パーキンス氏(元チャールズ・T・メインというコンサルティング会社のチーフエコノミスト、経済・地域計画担当マネジャー)の著書「エコノミック・ヒットマン」(古草秀子訳 東洋経済新報社)には、エコノミック・ヒットマンについてこう書かれている。『エコノミック・ヒットマン(EHM)とは、世界中の国々の騙して膨大な金をかすめとる、極めて高収入の職業だ。彼らは世界銀行や米国国際開発庁(USAID)など国際「援助」組織の資金を、巨大企業の金庫や、天然資源の利権を牛耳っている裕福な一族の懐へと注ぎこむ。その道具に使われるのは、不正な財務収支報告書や、選挙の裏工作、賄賂、脅し、女、そして殺人だ』。そして彼らの仕事は『「世界各国の指導者たちを、アメリカの商業利益を促進する巨大ネットワークにとりこむこと」。それによって「最終的には、そうした指導者たちは負債という罠に絡めとられて、忠誠を約束せざるをえなくなる。そうしておけば、必要なときにいつでも彼らを利用できる―政治的、経済的、あるいは軍事的な必要を満たすために。それとひきかえに彼らは、工業団地や発電所や空港を国民に提供することで、元首としての地盤を固められる。そして、アメリカのエンジニアリング会社や建設会社は莫大な利益を得られる」』という。しかし、『多くの国々で、経済成長はほんの一部の人々だけに恩恵をもたらし、残りの大多数の人々はますます絶望的な状況に置かれる結果になっているといえよう』とも書いている。
 


 「オセアニア歴訪中の安倍晋三首相は10日、パプアニューギニアのオニール首相と会談し、同国のインフラ整備を支援するため今後3年間で円借款を含む200億円規模の政府開発援助(ODA)を実施することを柱とした共同声明をまとめた」(「パプアにODA200億円、首脳会談、LNG安定供給確認。」2014/7/11 日本経済新聞 朝刊)。前述の「エコノミック・ヒットマン」のような状況にならないよう、同国の指導層だけでなく貧困層にも多くの恩恵が及ぶようにODAが使われることが望まれる。
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