投資家の目線

投資家の目線471(集団的自衛権問題に水野広徳を思う)

 先週、集団的自衛権の行使の容認が閣議決定された。日本の安全とは直接関係ない地域への自衛隊派兵も懸念されている。直接経費だけでなく、派遣された自衛官が死傷した場合の本人や家族へのケアの費用は日本の財政負担になる。エマニュエル・トッドは著書「帝国以後」で、第2次世界大戦時の米軍の行動様式に関し「ある程度の犠牲精神が要求される作戦は、それが可能である時には必ず同盟国の徴募兵部隊に任された」と記述しており、自衛隊も危険な作戦に従事する可能性がある。


 水野広徳は海軍軍人で、第一次世界大戦のときに私費で欧州を視察、ロンドン空襲を経験したり、戦場跡や戦後社会の惨事を目の当たりにしたりして、軍備撤廃を主張するまでに転向した人物である。退役後はジャーナリストとなり、ワシントン軍縮条約など軍縮に賛成する論陣を張っている。その水野は現役のとき「G.A.バラード提督著『日本海上政権史論』について」という論文を書いている。「バラードは、島国である日本を攻めるには、日本の三倍もの兵力が必要である。日本は四面を深い海に囲まれているので潜水艦で防衛するのに適している。…(中略)…大型の軍艦は南洋方面の通商路保護のためには必要であろうが、その艦隊の規模は経済力とのかね合いで決められるべきであると結論している」(関英次著「日英同盟 日本外交の栄光と凋落」:学研)。


 米国に見捨てられないように集団的安全保障が必要だという人もいるが、その前に自国をどのように防衛するかを考えたほうが良いのではないか?もちろん、日本の財政状態とのかね合いを考えてであるが。



参考文献:「クイズ『坂の上の雲』>「秋山真之」を超えた『忘れられた海軍大佐の戦略家』水野広徳とは何者じゃ」 前坂俊之(静岡県立大学名誉教授)公式HP
http://maesaka-toshiyuki.com/detail?id=297/
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「ニュース」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事