投資家の目線

投資家の目線851(自動車生産が回復見込み?)

 11月9日の日本経済新聞の記事に、世界の自動車生産が復調に向かっているという記事が出た。不足が伝えられた半導体の確保に一定のめどが立ったためのようだ(「車生産、回復見込む トヨタや日産が半導体確保にメド」 2021/11/9 日本経済新聞WEB版)。しかし、生産が回復したとしても、それがどれだけ売り上げにつながるのだろうか?

 輸入自動車の取り扱いの多いロングビーチ港をはじめ、米国西海岸の港は特に混雑している。10月25日の日経ビジネス電子版には、バイデン米国大統領が供給網混乱問題の解決のために開いた記者会見を見た日系自動車部品企業の社長と副社長の、『ロサンゼルス港の荷降ろし作業を「トゥエンティーフォーセブン(24時間・無休)」で稼働させることと、ウォルマートやターゲットなどの小売り大手や、フェデックスやUPSなどの物流大手と組んで人手を増やしてもらい、在庫を早く引き取ってもらうことの2点だった。2人にとって、後者はまだしも前者が問題の解決につながるとは思えなかった。』という感想が記されている。

 この状況は、国内生産のうち北米輸出の割合の高い日産自動車にとっては特に厳しいのではないだろうか?『帝国データバンク横浜支店は8日、日産自動車のグループ8社と取引のある1~2次下請け先企業のうち79.1%で直近の決算が減収となったとする調査結果をまとめた。前年同時期の調査では減収企業の割合は55%で、直近の1年間で減収企業の割合が高まったという。同支店は、半導体供給不足などの外部環境もあり「下請け企業に今後大きな影響を与えかねない」としている。』(「日産グループ下請け 79%が減収」 2021/11/9 日本経済新聞朝刊)と、日産自動車グループの下請け企業の苦境が伝えられている。このことは、雇用、所得を通じて日産自動車の生産拠点のある地域の景気に結びつく。

 触媒コンバーターの盗難問題もある。10月26日に愛知県で解体業者が逮捕されたが、米国では今年7月ぐらいには同部品の盗難が問題視されており、メーカーは盗難防止策の強化を求められている。

 生産が回復しても、その商品が売れなければ生産する意味がない。自動車生産の回復に過度の期待はしない方がよいと思う。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「自動車」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事