投資家の目線

投資家の目線107(株主総会を終わって)

 今年の株主総会では、買収防衛策を決議する企業が多かった。しかし買収された後、例え当該企業価値が低下しても、株式を売却した株主にとっては何の不利益もない。企業価値が低下して困るのは買収した側である。したがって、経営陣が既存株主に対して本来すべきことは提示価格で買収者に売り渡すよりも、このまま保有していた方が儲かることを訴えることである。具体的に買収対象となった企業の株主総会では、そのような論戦が行われたのであろうか。
 個人株主が投資について学べば学ぶほど、日本には総資産に対する収益性が低い企業が多いことを知るだろう。スティール・パートナーズとの一件で話題となったブルドッグソースは総資産235億円のうち投資有価証券は84億円、天龍製鋸は総資産228億円のうち投資有価証券は71億円(両社とも平成19年3月期、連結ベース)にもなる。投資有価証券のような金融資産は本来各社の事業とあまり関係ないはずだ。
 また、6月23日の朝鮮日報(電子版)は、昨年韓国の外国直接投資誘致額が2年連続で減少し、経済協力開発機構の加盟国のうち2年連続で減少したのは韓国、日本、メキシコだけだったと伝えている。買収防衛策に頼るようでは、今後外国直接投資が誘致できるのか怪しいものだ。

 6月29日の日経金融新聞で、ブルドッグソース側の弁護士が米国の買収対抗策の例として1985年のユノカル石油の件を挙げていた。しかし、これは1988年にKKRがRJRナビスコに買収を仕掛ける事件が起こる前のことである。そのころKKRは野蛮人扱いだったが、今では上場の話もあるぐらいで、当時とはファンドをめぐる社会的状況が変わった。現在でもユノカル石油当時の例は当てはまるのであろうか?
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・6月29日、フジテレビの約2億円の所得隠しについて報道された。フジ・サンケイグループで税務調査がされるのは珍しいのではないか?

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