投資家の目線

投資家の目線470(農産物のブランド化)

 「福島県の歴史」(山川出版社:丸井佳寿子、工藤雅樹、伊藤喜良、吉村仁作 P201~P202)には、福島県信達地方の蚕種の話があった。同地方の蚕種は品質が良いと評価が高かったようである。すると本場福島産と偽った、品質の悪い偽ブランド品が出てきたという。それを防ぐために冥加金を支払い、信達産蚕種は良種として、本場銘を記入することが幕府に認められた。これは現代の商標登録のようなものだろう。


 しかし、この施策は他の産地の蚕種生産を抑えることはできなかったばかりか、冥加金の納入が必要な本場種は価格が高くなり、安い他産地の蚕種との競争に負けるようになった。そのため、天明三(1783)年にこの制度は廃止された。始まったのが安永二(1773)年なので、10年程度で終了したことになる。


 近年、農産物のブランド化が言われている。しかしこの例をみると、品質が良くても価格への配慮が足りなければ他産地との競争に負けることがわかる。
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