投資家の目線

投資家の目線63(企業買収合戦)

 紳士服のAOKIが、福岡を中心とする同業のフタタに買収を申し込んだが、最終的にはコナカの子会社となるようだ。フタタは約4割の株式を創業者一族が所有していることもあり、一般株主がAOKI案とコナカ案を比べる機会がほとんどなく決まってしまったのは残念である。
 王子製紙の北越製紙に対するTOBはまだ続いているが、その成立は難しいようだ。紙の国内市場は一割程度の供給過剰が常態化しているという(日本経済新聞06年8月9日)。原燃料高と紙パ市況悪化で業界の構造改革の必要性が叫ばれているようだが、企業再編以外にどのような構造改革を進めるのだろうか(なお本日の日本経済新聞朝刊で、北越製紙は大韓民国の製紙大手と設備「統合」する旨報道されているが効果のほどはどれくらいになるのだろう)?
 大口ユーザーの立場から、日本印刷産業連合会が寡占化による紙価格の上昇を懸念して反対声明を出す決定をした(日本経済新聞06年8月9日)。マイケル・ポーターは「競争の戦略」内で業界内の競争力に影響を与えるものの1つとして、「買い手の交渉力」が挙げている。例えば、買い手の数が少なかったり、ある買い手が売り手の製品の主要な取引先であったりする場合などに、買い手側は売り手側(この場合は製紙業界)に対して有利に交渉できるようなことである。過剰供給で非効率的な状態の続く製紙業界の再編に反対するのではなく、印刷業界などの買い手側も業界を再編して「買い手の交渉力」を高めたほうが賢明だと思われる。
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・8月22日、読売巨人軍の球団職員が、選手のサインを偽造したバットやボールをインターネットオークションに出品していたと報道された。読売巨人軍は読売新聞グループ本社傘下の企業である。同社関連企業の日本テレビアナウンサーの盗撮事件は実名が公表されないままであるが、この職員が逮捕されたら実名報道されるのであろうか?

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