投資家の目線

投資家の目線64(無題)

 8月30日、同和鉱業は今後三年間株式を継続保有した株主が1株につき、0.05株の新株を受け取れる新株予約権を発行すると発表した(日本経済新聞8月31日朝刊参照)。9月末時点の全株主に一律で、1株につき1個の条件付き新株予約権を発行し、2009年9月まで3年間保有した株主に1株分を1円で購入する権利が与えられる。この施策は株式の短期保有者に不利であり、株式の長期保有にインセンティブを与えると考えられている。このように株式の長期保有者に比べ短期保有者にペナルティが課せられる状況になれば、売却の自由を制限させられた投資家が、交換に経営者に対して厳しい条件をつけることはフェアなことである。つまり、株主は経営者に対して以前よりハードルの高いパフォーマンスを要求する権利がある。
 ここ30試合以上、関東地区の巨人戦の視聴率は1ケタ台に低迷している。株主のためを考えれば日本テレビはフジテレビのようにゴールデンタイムの野球中継を中止するのが合理的だ。それゆえ、今まで低視聴率の巨人軍主催試合をゴールデンタイムで放映し続けている(他球団主催試合は放映しないことがある)のは、筆頭株主で最近は銀座プランタン隣接地などの不動産開発に熱心な読売新聞グループ本社(読売巨人軍は同社傘下の中核企業)の意向に沿っているように思えて仕方ないのである。日本テレビが読売新聞グループ本社の完全子会社ならグループ内の伝票の付け替えに過ぎないが、上場会社でグループ以外の株主がいる以上、低視聴率番組を放映し続けることは他の株主に負担を強いているといえよう。
 北越製紙のTOBについてもそうだが、日本の場合、個人株主の権利はないがしろにされているように感じられる。ドイツにはドイツ株主協会という弁護士がスタッフを務めるNPOがあり、株主に代わって議決権も行使するそうだ(8月28日の日経金融新聞)。そうすれば個人投資家もCalPERS(カリフォルニア州公務員退職年金基金)ほどではないにしても、経営者に対して圧力をかけることができよう。
 個人投資家の権利を守るためには
「万国の個人投資家よ団結せよ!」
と言うしかない。
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