投資家の目線

投資家の目線340(司法関連の話題)

 ストック・オプション制度に絡み、脱税容疑で起訴された元外資系証券会社勤務の八田隆氏が、取調べ経過を自身のブログ「蟷螂の斧になろうとも」やツイッターを書いている。この取り組みは興味深い。取調べの完全可視化が行われていない現状では、取り調べられている本人がその内容を社会に公表しなければ、検事の作文が一人歩きしてしまう可能性があるからだ。

 12月15日には、陸山会事件の第9回公判で、石川議員を取り調べた田代検事が捜査報告書に事実でない発言を記載したことが発覚しているし、翌日の第10回公判では、前田元検事がゼネコンからの裏献金を検察幹部の妄想だと思った(石川議員らの判決に影響しそうだ)、強制起訴についても検察側の証拠隠しがあったと思うと証言している。ライブドア事件以降、一般市民の、検察や裁判所など司法関係に対する関心が強まっているように思う。検察のやり方については、この事件も覚えておいたほうが良いだろう。

 法律の文章が平易になって、法律屋さんじゃない一般市民にも条文が読みやすくなった。法律屋さんは、所詮は社会のマイノリティー。一般市民が条文を読めるようになった結果、一般市民は密教のような法律屋さん独特の法解釈を許さなくなっていくだろう。世界史の教科書には、欧州の宗教改革のときにルターが「破門状」を公衆の前で焼いている絵がよく載っている。「判決文」が公衆の面前で焼かれるようになる前に、法律屋さんと一般市民の感覚を縮めていく事が望ましいと思う。

 また16日には、公の催事で飲酒し帰宅中に事故を起こしても「公務中」の事故と見なされていたような、米国軍人・軍属の日本での刑事訴追に関する日米地位協定の運用を見直すと報道された。同日、それに関連して仲井真沖縄県知事は『記者団に「沖縄は治外法権に近い状態が続いている。ただちに地位協定の改定は難しいとしても、一歩一歩改善してほしい」と述べ』(2011/12/17しんぶん赤旗)たという。歴史の教科書で「治外法権」と出てくれば、すぐに不平等条約という言葉を思い出すだろう。そのような状況を改善しようとする声が、国民からあまり出てこないのは不思議なことだ。確かに日本の取調べは弁護士の立会いを認めず、完全可視化も行われていないので、現状において米国は自国民の人権を守ることを盾に地位協定の改定を認めないだろう。その点からも、取調べの完全可視化は望まれる。


 ちなみに沖縄関連では、米国上院は海兵隊基地の嘉手納移転案を持ち出しているとのこと(孫崎享氏2011/12/13のツィート)。議会と妥協しないで、オバマ政権は予算を成立させることができるのだろうか?田中前局長の話とは異なり、辺野古移設ができないならば必ずしも普天間基地継続というわけではない。

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日本の次期主力戦闘機に決まりそうなF35に深刻な構造上の問題があるというペンタゴンの最新技術報告書を英ジェーン・ディフェンス・ウィークリーが報じているという(2011/12/17サーチナ)。先週引用した世界の艦船2012年1月号、10月17日のネイビー・タイムス紙の記事でも対潜機乗組大尉が、「問題ばかり起こしているF35戦闘攻撃機も止めてほしい。少なくとも、海兵隊用のF35B(V/STOL型)は廃止して、証明済みのF/A-18E/Fスーパーホーネットを使い続けよう」(「米海軍予算を大幅削減か!? 現場将兵から沸き起こる異論・反論の声」)という意見を述べている。ステルス性などF35のスペックは凄いようだが、信頼性に欠けていてはどうしようもない。いまF35に決めていいのか?

マスコミは報じていないが、週刊ポストが田村駐クロアチア大使のセクハラ問題を報じている。7日の外務省記者会見でもそれについて同誌の記者が質問している。ここは田中真紀子衆院外交委員長の出番かな。

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