投資家の目線

投資家の目線691(沖縄県知事選とインフラ建設)

 沖縄県知事選候補者のホームページを見ると、インフラ建設を政策として挙げている候補もいる。

 ジョン・パーキンス(国際的コンサルティング会社チャールズ・T・メインの元チーフエコノミスト、経済・地域計画担当マネジャー)著書「エコノミック・ヒットマン」(古草秀子訳 東洋経済新報社)には、エコノミック・ヒットマンの仕事は『「世界各国の指導者たちを、アメリカの商業利益を促進する巨大ネットワークにとりこむこと」。それによって「最終的には、そうした指導者たちは負債という罠に絡めとられて、忠誠を約束せざるをえなくなる。そうしておけば、必要なときにいつでも彼らを利用できる―政治的、経済的、あるいは軍事的な必要を満たすために。それとひきかえに彼らは、工業団地や発電所や空港を国民に提供することで、元首としての地盤を固められる。そして、アメリカのエンジニアリング会社や建設会社は莫大な利益を得られる」』という。しかし、『多くの国々で、経済成長はほんの一部の人々だけに恩恵をもたらし、残りの大多数の人々はますます絶望的な状況に置かれる結果になっているといえよう』と記している。

 インフラ建設には沖縄県及び県内の自治体は資金を負担しなくてもよいのだろうか?もし資金負担が必要で、それを借り入れや債券発行等の負債で賄うならば、「エコノミック・ヒットマン」に出てくる「負債という罠」に絡めとられる可能性もあるのではないか?建設会社はも狩るかもしれないが、多くの県民はその恩恵に与ることはできない。

 「沖縄県の歴史」(安里進、高良倉吉、田名真之、豊見山和行、西里喜行著 山川出版社 P228)では、明治政府の「琉球建藩、尚泰冊封の措置が、琉球併合へむけて用意周到に案出された第一の布石であることを、琉球当局は事前に察知していたが、明治政府の救済によって財政破綻を回避したばかりであったため、冊封回避の有効な対応策を講ずる余地はなかった」と記されている。かつて沖縄は、「負債という罠」に絡めとられて日本の一部になった。

 マレーシアのマハティール首相は、『中国との関係について「多くの資金を借りすぎると担保を奪われることになる。非常に注意しなければならない」と指摘した。対中債務の返済に苦しむ国が増えていることに警鐘を鳴らした』(「マハティール氏、対中債務警鐘。」 2018/9/29 日本経済新聞 夕刊)。同じことが、日本の中央政府と沖縄の地方政府の関係にも当てはまるのではないだろうか。
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