投資家の目線

投資家の目線287(TPPと日米韓朝の関係)

 日本経済新聞の大機小機でもTPPが話題になっている。しかし、片山さつき議員などはTPP対象9国のうちのシンガポール、ブルネイ、マレーシア、チリとは既にEPAなどが締結されていることから(他にベトナムも署名済み)、TPPには懐疑的なようだ(12月2日のブログ)。また、ペルーとはこの11月にEPAの合意はしている。豪州とは来年早々からEPA交渉再開する。残りはニュージーランドとアメリカ合衆国の2カ国で、それなら個別にFTAなどの交渉をしても良いだろうという意見もある。

 12月1日の時事通信に、本年2月3日のアメリカ合衆国カート・キャンベル次官補と大韓民国の金首席秘書官(現外交通商相)会談の公電をウィキリークスが公表し、それには鳩山政権の対北政策は自民党時代のそれとは全く違うため、当時の岡田外相や菅財務相らの主要メンバーに直接働きかけるべきことに同意したと報道されていた。

鳩山政権「自民党と全く違う」=米韓が懸念共有ー外交公電 時事ドットコム 2010/12/1

 その後、鳩山総理が辞任して先の菅氏が政権を担い、9月の代表選後はさらに岡田氏が幹事長となって党の実権を握っているので、米韓にとってはシナリオ通りといえよう。大韓民国への文化財引渡し(返還)の件もこの一件から理解ができるし、効果に疑問のあるTPP加入もアメリカ合衆国への配慮と考えることができる。
 6日にはワシントンで日米韓の外相会談(米国は国務長官、韓国は外交通商相)が行われ、朝鮮民主主義人民共和国に三カ国が結束して対応する姿勢を示した。鳩山政権を唐オたのは、このような対北強硬政策を実現させるためだったのではないかと思う。最近の流れは、哨戒艇沈没事件や尖閣問題を口実に米韓や日米で合同演習を行い(日本、大韓民国は互いにオブザーバーを派遣)、拉致被害者保護を口実に半島有事の際には自衛隊の半島への派遣を正当化しようということではないか(自衛隊が代替すれば、アメリカ軍の負担も減るだろう)?朝鮮戦争のときには、日本から相C部隊が派遣された。

 政界での小沢(一郎)はずしも、このような外交政策から理解すべきではなかろうか?現在の日米韓の対北(あるいは対中も含めた)政策の有力な反対勢力になりかねないと考えられているのなら、こんなヒステリックに小沢はずしをしたがるのも理解できる(有馬哲夫氏の「CIAと戦後日本 保守合同・北方領土・再軍備」平凡社新書 を読むと、少なくとも過去のCIAは保全経済会疑獄など政治家の政治生命に関わる情報を握っていたという。今回の小沢氏の起訴内容はそれとは程遠い。CIAの情報収集能力が落ちたのか、そもそも金融スキャンダルが存在しないのか。今年2月12日に、後に総理となる中曽根康弘氏がロッキード疑惑のもみ消しを要請したと朝日新聞が報じたが、米国に先駆けた日中国交正常化など日本独自外交を成し遂げた田中元総理とはずいぶん扱いが違う。)。また、小沢氏を排除した民主党とならば大連立も可とする谷垣自民党はこの外交シナリオに乗るつもりなのだろうか?

 9日には大韓民国の李明博大統領が訪問先のマレーシアで、統一が近づいていると発言されていたが、力技での南北統一が近いのだろうか?
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・先週土曜日のNHKスペシャルで、「日米安保」が取り上げられていた。日米安全保障条約の第五条は、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」となっている。この「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」というのはどういう意味だろう?アメリカ合衆国が日本を護ると単純にはいえないのではないか?

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