投資家の目線

投資家の目線466(「金と香辛料」と移民問題)

 欧州議会の選挙が終わり、移民排斥を主張する政党が議席を増やした。一方、日本では移民導入推進の議論が活発化している。坂中英徳・移民政策研究所長は外国特派員協会で次のように語っている。


(引用開始)
坂中:「私は、正しい外国人の受け入れの仕方である『日本型移民政策』で、移民を入れるべきだと考えています。

日本型というのは要するに、外国人を日本の学校や職業訓練学校、農業高校、工業高校、それから大学に入れて、しっかり、日本語も含めて勉強してもらい、専門知識や専門技術も身につけてもらう。そういう人たちにそれぞれの分野で活躍してもらう。そして、すみやかに安定した生活ができるようになれば、永住を許可し、希望すれば国籍を与えるということです。
(引用終了)

「日本は1000万人の移民を50年かけて受け入れるべきだ」 坂中英徳・移民政策研究所長が訴える"移民開国論" BLOGOS 2014年5月26日


 「日本型移民政策」とは、要するに子供の頃から日本の言葉や生活に慣らしておくことで、日本社会に溶け込める外国人を作ろうというということであろう。しかし、高校生ぐらいになれば母国の慣習にある程度染まっているだろうから、「日本型移民政策」が成功するとは思えない。


 移民は同郷で固まって住む傾向がある。日本でも中華街やコリア・タウン、鶴見のような沖縄タウンと呼ばれるところがあるし、日本からの海外移民もリトルトーキョーを作った。同郷どうしで助け合うことで移民は現地の言葉がわからなくとも生活ができるようにさえなる。「金と香辛料 - 中世における実業家の誕生」(ジャン・ファヴィエ著 内田日出海訳 (株)春秋社)にも、次のように異国の中で外国人が団結していく記述がある。

(引用開始)
外国人たちは、自分たちの共同利益を防衛するために自らを組織する。特権の獲得と維持は統一的行動ならびに競争の規則を前提とする。猜疑心の絶えない、ときには敵対的ともなる環境の下で生き残るためには、個人生活や職業生活のレヴェルと同じほど多様な形の相互扶助が必要とされる。
(引用終了)


 移民先進国のアメリカ合衆国でも英語ができないヒスパニック層が増えている。移民を増やそうとするなら、むしろ日本語ができない人でも受け入れるような寛容さが必要ではないかと思う。

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