投資家の目線

投資家の目線378(「検察崩壊」)

 「検察崩壊 失われた正義」(郷原信郎著 毎日新聞社)を読んだ。Amazonのノンフィクション部門で7位(2012/9/8)、ベストセラー商品ランキングで最高ベストテンぐらいまで行っていた。虚偽報告書作成など、「陸山会事件」に関する検察庁の問題に焦点を当てたもので、郷原氏が、小川前法務大臣、取調べを受けた石川知裕議員、大坪元大阪地検特捜部長、八木啓代「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」代表との対談形式の本である。特に八木氏は歌手として主に中南米を活動拠点としており、2005年にメキシコで起きた野党の大統領候補が「政治とカネ」の問題で逮捕されそうになるという「陸山会事件」と似た事件を経験している。その事件も収賄は立証できず、書類の書き間違いのようなものだったという。こういう経験が会を立ち上げる動機の一つになったようだ。「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」のHPには、最高検の報告書と実際の取調べ状況の対照表、田代報告書と石川議員の録音反訳書及びそれらの対照表などの資料が豊富に提供されている。


 三井環元大阪高検公安部長の著書「検察の大罪」(講談社)では、「ちなみに、いまの検察庁の調査活動費予算は七五〇〇万円くらいのようだ。私のころと比べると一〇分の一程度になっている。これはさまざまな告発の成果といえるだろう。だが、法務省全体の調査活動費予算は変わっていない。つまり、その一〇分の九はどこかでダブついている状態と考えられる。まだ、私が知っている裏金の使われ方は、変わらない悪習として残っているといえる。」と書かれている。こういうことを是正せずに民衆は消費税率引き上げで税金を召し上げられなければならないのか?


 なお、元検事の市川寛弁護士の著書「検事失格」(毎日新聞社)には、横浜地検在籍時に特捜検事だった刑事部長がマスコミに捜索場所をテレビ局にリークしたことが書かれている。検察からのリークなんてないという人もいるが、元内部者の発言だけに検察のリークの存在に信憑性がある。
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