投資家の目線

投資家の目線377(石原都知事インタビュー)

 8月28日のWSJ日本版に「石原都知事インタビュー:一問一答」が載っていた。


 竹島や尖閣諸島の領有権問題について答えている(石原知事は竹島の領有権についてはあきらめているように見える)。この記事のなかに、

『石原知事:いや、それは次の段階だろう。とにかく最低限の港や監視場を作る。もっと険悪になってきたら、自衛隊を配備することもあるかもしれない。それもしないで『アメリカさん助けてください』といっても、アメリカが動くわけはない。だが、この問題についてアメリカは、日本が強い意思表示をすることに反対して、『穏やかにやれ、話し合いでやれ』と言って、あくまで日本に力を貸さなかったから、結局、(中国に)押し切られてしまって、日本単独であの島を守り切れなかった場合、アメリカは、結局太平洋を全部失うことになる=と、私はウォール・ストリート・ジャーナルに書いた。 』

 これを見ると、石原知事は尖閣と引き換えに日米安保や在日米軍基地を葬る気のように思える。


 一方8月28日報道では、中国人民解放軍の副総参謀長が尖閣を日米安保の適用対象にしないよう提案をしている。もし尖閣が安保対象でなくなれば、そこが外国軍に占領されても日米安保や在日米軍基地の存在を傷つけずにすむ。中国人民解放軍は日本をビンの中に閉じ込めたままにしていたいように見え、この申し出は金欠の米国政府にとって有利なものだと思える。


 米国地名委員会が尖閣をどこの国の領土とするかに注目する必要がある。2008年に数日、竹島は「どの国にも属さない地域」になった(その後、ブッシュ大統領が指示して韓国領に戻った)。この一件から、韓国の実効支配が変わらないのに竹島が「どの国にも属さない地域」になったことを考えると、日本が尖閣を「実効支配」しても必ずしも米国が日本の「施政下」と認めるとは限らないこと、米国の地名委員会の決定には政治介入がありうることが読み取れる。


 2012年8月30日の日本経済新聞(WEB版)に「尖閣問題、日本はもう日米同盟に戻れない」という、8月26日のForbesの記事があった。著者のスティーブン・ハーナー氏は米国務省出身で、先日発表された「アーミテージ・ナイ報告書」について、「この報告書について私が言いたいのは、既得権益層の言い分、官僚的(特に国防総省的)な現状の予算維持を狙うロビー活動のように見受けられるということだ。変化しつつあるアジアの地政学的、戦略的現実に、もっぱらそれを無視(もしくは否定)することで対処しようとしている」と述べている。「アーミテージ・ナイ報告書」は米国人にもこの程度の扱いを受けており、日本政府は必ずしもこの報告書に縛られる必要はない。


 また、8月28日のWSJ日本版「【オピニオン】米国の中身のないアジア重視戦略」でアメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・オースリン日本部長は、「共和党のロムニー候補とオバマ大統領は穏やかに話すことと、アジア諸国の微妙なバランスを一方的に崩そうとする国への警告として現状の軍事力を維持することを決意すべきである」と述べているが、そんなことをすればロン・ポール氏の支持者は離れていくと思うが…。

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