米国サンフランシスコ市では、家賃高騰でホームレスが増加し、治安の悪化から長年開催されていたある医療関連組織の会議が今後中止されることとなったことや(東洋経済2018/7/28号「富の街サンフランシスコ ホームレスが経済に打撃」 瀧口範子)、家賃高騰の一因である民泊に規制が加えられたこと(週刊エコノミスト2018/11/27号「サンフランシスコ 強まる民泊への規制 背景に家賃高騰」 ジャーナリスト瀧口範子)が報じられていた。国内の大量のホームレスを放置しておいては偉大な国になれるはずがないし、住民が移転して次々入れ替わればコミュニティが成り立たず持続可能な社会も作れない。
投資ファンドもとうとうトレーラーハウスへの投資に乗り出したようだ([FT]投資ファンド、トレーラーハウスに照準 2019/5/21 日本経済新聞 電子版)。トレーラーハウスは米国で不動産が持てるほどの収入がない人が住む家で、ロンドンのハウスボートに通ずるものがある。投資ファンドが高い利回りを求めてトレーラーハウスを民泊などに転用したら、現在それに住んでいる人はもっと条件の悪いところに追いやられたり、ホームレスに転落したりすることが懸念される。その地域に縁のないグローバル投資家にとっては高いリターンさえ得られればそれで満足だろうが、そのせいで治安が悪くなったり、ホームレス対策で多額の税金が使用されたりすれば、地元の人々としてはたまったものではない。反グローバリズムのブレグジットもアメリカファーストもこのような住環境の悪化が影響しているように思う。
日本でもソフトバンク傘下のフォートレスが外国人や低所得者向けの低家賃の賃貸物件への投資を手鰍ッている(「日本の賃貸経営に黒船、米投資会社が見つけた商機 ソフトバンク傘下のフォートレス、外国人向け住宅不足に着目」 2019/6/20 ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版)。増加する外国人労働者等に住居を供給するのは当然だが、リターン優先で地域社会への影響を無視すれば、日本でも反グローバリズムの動きが優勢になるだろう。
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