元・教え子のAちゃん

2010年08月16日 11時05分36秒 | Weblog
帰省する日にあるメールが届いた。
元・教え子のAちゃんからだった。
私が帰省することを聞きつけて,
「ご実家へ寄らせていただきますね!」
ということだった。

Aちゃんは,私が音楽教室講師になって初めて教えた生徒の一人だ。
私が入るのと入れ替わりにお辞めになった先生からの引き継ぎの生徒だったので
初対面の時に彼女は中学2年生だった。
確か,部活帰りだったか,Aちゃんは体操服姿で,
テニスで真っ黒に日焼けした姿が印象的だった。
ひょろりとした真っ黒な手足の彼女はまるでゴボウのようだったが,
顔は黒目がちな大きな瞳と真っ白な歯が印象的なキュートな少女だった。
そんな彼女ももう34歳。
現在は幼稚園の先生。
時の経つのは早いものである。

Aちゃんは,きっと躾の行き届いた家庭で育ったであろうことが,
いろんな点でわかった。
彼女自身は多くは語らない子なのだが,ちゃーんとそういうことは
言動の端々ににじみ出ているものである。
私はすぐにこの少女に好感をおぼえた。

音楽的にもスッキリとしたセンスを持っていて,綺麗に弾きこなす。
ただ,その育ちの良さからくるものなのか何なのか,
押しの弱さが彼女のウィークポイントであった。
ここで,もうひと押しアピールして弾いてほしい!
と思うところでもさらり,と表現してしまったり,
コンクールなどでも,ここぞ!という時に
踏ん張りがきかなかったり,
と,歯がゆい思いもしてきたのだが,
まぁ,それも含めAちゃんの品の良さだったのかもしれない。

Aちゃんは,ドラマーと結婚した。
私が勤めていた教室のドラムの先生だ。
で,このかた,うちの兄のドラムの先生でもある。

兄がドラムを始める,と言った時はオドロイた。
なぜ,今頃になって?(当時もう40歳を超えていたのではなかったろうか)
なぜ,ピアノやギターではなくドラム?
(一人で完結できない楽器ではないか。学生でバンドをすぐ組めるような環境でもないのに。)
まぁ,急な気まぐれかねぇ,などという周囲の思惑に反し,
兄はずっとドラムを習い続けている。
きっと,Aちゃんのダンナさんのご指導がきめ細やかで丁寧なのだろう。

この先生,人当たりも良く,本当に素敵な方で,
私もAちゃんや兄の事からご縁をいただき,
ドラム関係のことでは,ちょくちょくお仕事を依頼させてもらっている。
楽譜を耳コピーする際にわからないところをとってもらったり,
場合によってはまるまる楽譜をお願いしたり,
アレンジでドラムソロをくっつけたいときに,そのパターンを考えていただいたり。
これがまた,素晴らしく綺麗な楽譜でいい仕事してくださってるのである。

余談だが,Aちゃんが結婚した時の
ホテルの式場担当者が,これまた私の元・教え子だった。
Sくんといって,Aちゃんと同じく引き継ぎで,
講師になって初めて教えた生徒の一人。
当時,Aちゃんと同じ中2だったので,
SくんもAちゃんもコンクールなどで顔なじみだった。
というか,確か,レッスン時間がちょうど繋がっていたような記憶が。

私はこの素敵な偶然にびっくりした。
Aちゃんの晴れの舞台のプロデュースをSくんがつとめる。
その二人ともが元・教え子で,その場に居合わせている。
この言いようのない素晴らしさに,涙がじわじわ滲んだ。

Aちゃんも今や一児の母となり,娘さんのYちゃんを連れて来てくれていた。
おしゃべりの達者な可愛い子。
品よくクレバーなところなど,Aちゃんそっくり。
またまた時の流れをしみじみ感じる。

こうして,帰省したと聞いて訪ねてきてくれる,という可愛さ。
なんと素敵な教え子に恵まれたことだろう。
そして,彼女が幸せに暮らしていることを感じることができて
本当に温かい気持ちになった。

Aちゃん,いつまでもお幸せに。
次に帰省した時も是非遊びに来てね。
コメント
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