昨日は市の花火大会があった。
息子は学校の友人2人に誘われ,男3人で観に行った。
相変わらずむさくるしいのう。
毎年8月15日に花火があるのだが,
いつも実家へ行っていたため観ることはなかった。
しかし,今回の帰省は12日~14日までだったので,
息子は初めて花火大会に行くことになったのだ。
以前からもちょくちょく書いたことはあったが,
息子は,何か考え事をし始めると没頭してしまい,
とんでもないミスをやらかすことがよくある。
なので,初めて花火大会へ行くにあたり,
私は諸注意を息子に与えた。
①財布をすられないようにすること。
②変な輩にからまれないようにすること。
①に関して。
とにかくすごい人込みなので,財布の管理をしっかりさせないと,
あんなぼーっとした子,いいカモになってしまう。
②に関して。
まぁ,温厚な友達ばかりなので,
ケンカを売ったり買ったりするようなことはないとは思うのだが,
知らん人の巻き添えを食う,ということもあるかもしれない。
まぁ,それでも大なり小なり何らかのアクシデントはあるやろなー,
奴のことだからなー,
と思いつつ,4時過ぎに,いってらっしゃーい,と,最寄り駅まで送って行った。
昨夜は夫も仕事から帰るのが遅かったので(彼はお盆も暦通りに仕事),
私は家でのんびりとDVDを観たり,本を読んだりしながら過ごしていた。
あー,極楽極楽。
もうすぐ息子から,駅まで迎えに来て,と電話が入る頃だなー,
と思っていた頃,電話が鳴った。
案の定,息子からだ。
「もしもーし」
と出ると,息子が消え入りそうな声でこう言った。
「財布なくした・・・・・」
おいおーーーーーーーーーい
行く前にあれほど言っただろうがーーーーーー
「えッッッ,で,今,どうしてるのッッッ」
「探してる・・・・・・」
私は頭をフル回転させた。
えーっと,まず何からどうすれば・・・
すると電話の向こうで息子が誰かと何やら話している。
道で警備をしている市の職員の人に,どうすればいいか訊いているようだ。
最寄警察の電話番号を教えてもらったらしい。
今から連絡して届出がないかどうか尋ねる,と彼は言った。
私は,息子と一緒に行ったお友達の事が気になった。
巻き込んで帰りが遅くなったのでは,ご両親に申し訳がない。
友達には先に帰ってもらうように息子に言い,
一旦電話を切り,もう一度息子の連絡を待つことにした。
警察に届け出ても,なかなか望みは薄いだろうなと思った。
ましてや,すられたりしたのだったら,届け出られる可能性などない。
しばらくして息子より連絡があり,一応警察に届けたということだった。
私は,そこまで迎えに行くから待ってなさい,と言い電話を切った。
本当は最寄駅まで電車で帰らせるつもりだったのだが,
定期券も財布に入っていたため,帰る手段がないのだ。
わーーーーーん,定期,まだだいぶん期間が残ってたのにーーーー
あと現金は,息子がじいちゃんからもらったばかりのお小遣い五千円や
その他にはバスのカードも入っていた。
市街地まで迎えに行くと,息子は憔悴しきっていて,しょげかえっていた。
「ごめんなさい・・・・・」
顔は土色だった。
私はトホホ,と思ったものの,怒る気にはなれなかった。
いい勉強をしたのではないかな,と思った。
息子は,順調にいけば,数年後には大学進学でこの家を出て,
一人暮らしを始めることになる。
なのに,今のような,何かに没頭すると何かが抜け落ちる,
などということばかりしていたのでは,絶対危ない。
これは,彼の性根を直すチャンスだと思った。
しょげかえる息子に,
・今はクレジットカードや銀行のカードがないからまだ被害が少ないけれど
大人になったら,財布と一緒にそういうものも失う。
・今は身分証明書が未成年のものなので,
それで消費者金融から勝手に借金されるなどということはないが,
成人したらそういう恐れもある。
・身分証明書を悪用されて,犯罪に使われることもある。
ということを,ひとつひとつゆっくり話した。
彼は神妙な面持ちではい・・・はい・・・と聞いていた。
息子はぐったり疲れたらしく,帰るなりシャワーを浴び床に就いた。
私もなんだか疲れてしまった。
息子が部屋へ行きほどなくして夫が帰ってきた。
ことの顛末を話すと,夫は呆れていたが,私と同意見で
「まぁ,こんなもんですんで良かった。少しばかり授業料を払ってええ勉強したやろ。」
と言った。
朝になっても,息子はまだしょげかえっていた。
私があれこれ家事をしていると,義母が離れにやってきて,
「あの子、『ばあちゃん,何かアルバイトさせてくれ』って言うから
今,いろいろ,仕事を頼んだよ。」
と言った。
(義母はもう昨夜は早く寝てしまっていたので,財布事件のことは言わなかった。
ややこしくなりそうなので,言わないままにした。)
息子は,母屋の方で米を運んだり,風呂を洗ったり,といろいろ手伝っていた。
息子はたくさんの手伝いを終え,
ばあちゃんから「バイト代」をもらい私のところへやってきた。
「かーちゃん,定期代,ごめんなさい。お金すこしずつ払うから。」
と言った。
それでバイトさせてくれ,とばあちゃんに頼んだんだな。
別に定期代に事欠くほど私も困っちゃあいないが,
息子のその気持ちが嬉しかった。
だいぶん反省していて,自分にできることをしようとしている。
一人っ子でぼーっと育ってしまったが,一応考えたのだ。
もう一度,
「これは,あんたにとっていい勉強になったんだからね,
あと,一緒に探してくれるお友達にも恵まれて,幸せ者なんだからね」
と,息子に言った。
今日は息子は塾へ行くことになっていたので,最寄駅へ送っていった。
定期券がないので,回数券を買うことにした。
いつもは,駅の前で降ろして帰るのだが,
今日はなんとなく私も車から降りて,回数券を買おうとした。
すると,駅員さんのテーブルの上に何やらファックスが1枚置いてあり,
定期券のコピーが写っていた。
そこには息子の乗り降りするそれぞれの駅名と,
息子のフルネームが書かれているではないか!!!!
私は駅員さんに
「すすすすす,すみませんッ
そのファックスですけど,うちの子のことじゃないかと思うんですけどッ」
と詰め寄った。
すると駅員さんが
「あー!これねぇ,さっき○○駅(息子が乗り換える駅)からファックスが来て,
財布の届け物があったんだけど,中にこの定期が入ってたから,
購入者の記録を調べてくれ,って照会があったんですよ。」
と言ったのだ!!!
「それッ,うちですーーーーーーーーーーーーッッッ」
私と息子は小躍りして喜んだ。
やったーやったー
この世の中,捨てたものではない。
きちんと届けてくださるかたがいらっしゃるのだなぁ。
息子は心なしか目が潤んでいる(大丈夫か,オイ)。
人の情けが心に染みたのだろう。
「アンタねぇ,これから,何か落し物があったときは,
まっさきに拾って届けてあげるんだよ。
自分がしてもらって嬉しかったことをいつまでも覚えておくんだよ。」
と言うと,
「うん,うん」
と満面の笑顔で喜びを表していた。
財布の中身は奇跡的にそっくりそのまま残っていた。
1円も減ることなく。
どこのどなたかは存じませぬが(教えてもらえなかったらしい),
親切に届けてくださってありがとうございました。
息子はよい勉強をこの一昼夜でたっぷりしました。
親子して心がじんわりと温かくなった日なのでした。
ん・・・?
財布はそっくりそのまま戻ってきたよね,中身も・・・
で,息子は,「バイト」とは言え,
ばあちゃんにだいぶ色をつけてもらってお金をもらった・・・
おいおーーーーーい
結局のところ,お金増えとるやないかーーーーーい
息子は学校の友人2人に誘われ,男3人で観に行った。
相変わらずむさくるしいのう。
毎年8月15日に花火があるのだが,
いつも実家へ行っていたため観ることはなかった。
しかし,今回の帰省は12日~14日までだったので,
息子は初めて花火大会に行くことになったのだ。
以前からもちょくちょく書いたことはあったが,
息子は,何か考え事をし始めると没頭してしまい,
とんでもないミスをやらかすことがよくある。
なので,初めて花火大会へ行くにあたり,
私は諸注意を息子に与えた。
①財布をすられないようにすること。
②変な輩にからまれないようにすること。
①に関して。
とにかくすごい人込みなので,財布の管理をしっかりさせないと,
あんなぼーっとした子,いいカモになってしまう。
②に関して。
まぁ,温厚な友達ばかりなので,
ケンカを売ったり買ったりするようなことはないとは思うのだが,
知らん人の巻き添えを食う,ということもあるかもしれない。
まぁ,それでも大なり小なり何らかのアクシデントはあるやろなー,
奴のことだからなー,
と思いつつ,4時過ぎに,いってらっしゃーい,と,最寄り駅まで送って行った。
昨夜は夫も仕事から帰るのが遅かったので(彼はお盆も暦通りに仕事),
私は家でのんびりとDVDを観たり,本を読んだりしながら過ごしていた。
あー,極楽極楽。
もうすぐ息子から,駅まで迎えに来て,と電話が入る頃だなー,
と思っていた頃,電話が鳴った。
案の定,息子からだ。
「もしもーし」
と出ると,息子が消え入りそうな声でこう言った。
「財布なくした・・・・・」
おいおーーーーーーーーーい
行く前にあれほど言っただろうがーーーーーー
「えッッッ,で,今,どうしてるのッッッ」
「探してる・・・・・・」
私は頭をフル回転させた。
えーっと,まず何からどうすれば・・・
すると電話の向こうで息子が誰かと何やら話している。
道で警備をしている市の職員の人に,どうすればいいか訊いているようだ。
最寄警察の電話番号を教えてもらったらしい。
今から連絡して届出がないかどうか尋ねる,と彼は言った。
私は,息子と一緒に行ったお友達の事が気になった。
巻き込んで帰りが遅くなったのでは,ご両親に申し訳がない。
友達には先に帰ってもらうように息子に言い,
一旦電話を切り,もう一度息子の連絡を待つことにした。
警察に届け出ても,なかなか望みは薄いだろうなと思った。
ましてや,すられたりしたのだったら,届け出られる可能性などない。
しばらくして息子より連絡があり,一応警察に届けたということだった。
私は,そこまで迎えに行くから待ってなさい,と言い電話を切った。
本当は最寄駅まで電車で帰らせるつもりだったのだが,
定期券も財布に入っていたため,帰る手段がないのだ。
わーーーーーん,定期,まだだいぶん期間が残ってたのにーーーー
あと現金は,息子がじいちゃんからもらったばかりのお小遣い五千円や
その他にはバスのカードも入っていた。
市街地まで迎えに行くと,息子は憔悴しきっていて,しょげかえっていた。
「ごめんなさい・・・・・」
顔は土色だった。
私はトホホ,と思ったものの,怒る気にはなれなかった。
いい勉強をしたのではないかな,と思った。
息子は,順調にいけば,数年後には大学進学でこの家を出て,
一人暮らしを始めることになる。
なのに,今のような,何かに没頭すると何かが抜け落ちる,
などということばかりしていたのでは,絶対危ない。
これは,彼の性根を直すチャンスだと思った。
しょげかえる息子に,
・今はクレジットカードや銀行のカードがないからまだ被害が少ないけれど
大人になったら,財布と一緒にそういうものも失う。
・今は身分証明書が未成年のものなので,
それで消費者金融から勝手に借金されるなどということはないが,
成人したらそういう恐れもある。
・身分証明書を悪用されて,犯罪に使われることもある。
ということを,ひとつひとつゆっくり話した。
彼は神妙な面持ちではい・・・はい・・・と聞いていた。
息子はぐったり疲れたらしく,帰るなりシャワーを浴び床に就いた。
私もなんだか疲れてしまった。
息子が部屋へ行きほどなくして夫が帰ってきた。
ことの顛末を話すと,夫は呆れていたが,私と同意見で
「まぁ,こんなもんですんで良かった。少しばかり授業料を払ってええ勉強したやろ。」
と言った。
朝になっても,息子はまだしょげかえっていた。
私があれこれ家事をしていると,義母が離れにやってきて,
「あの子、『ばあちゃん,何かアルバイトさせてくれ』って言うから
今,いろいろ,仕事を頼んだよ。」
と言った。
(義母はもう昨夜は早く寝てしまっていたので,財布事件のことは言わなかった。
ややこしくなりそうなので,言わないままにした。)
息子は,母屋の方で米を運んだり,風呂を洗ったり,といろいろ手伝っていた。
息子はたくさんの手伝いを終え,
ばあちゃんから「バイト代」をもらい私のところへやってきた。
「かーちゃん,定期代,ごめんなさい。お金すこしずつ払うから。」
と言った。
それでバイトさせてくれ,とばあちゃんに頼んだんだな。
別に定期代に事欠くほど私も困っちゃあいないが,
息子のその気持ちが嬉しかった。
だいぶん反省していて,自分にできることをしようとしている。
一人っ子でぼーっと育ってしまったが,一応考えたのだ。
もう一度,
「これは,あんたにとっていい勉強になったんだからね,
あと,一緒に探してくれるお友達にも恵まれて,幸せ者なんだからね」
と,息子に言った。
今日は息子は塾へ行くことになっていたので,最寄駅へ送っていった。
定期券がないので,回数券を買うことにした。
いつもは,駅の前で降ろして帰るのだが,
今日はなんとなく私も車から降りて,回数券を買おうとした。
すると,駅員さんのテーブルの上に何やらファックスが1枚置いてあり,
定期券のコピーが写っていた。
そこには息子の乗り降りするそれぞれの駅名と,
息子のフルネームが書かれているではないか!!!!
私は駅員さんに
「すすすすす,すみませんッ
そのファックスですけど,うちの子のことじゃないかと思うんですけどッ」
と詰め寄った。
すると駅員さんが
「あー!これねぇ,さっき○○駅(息子が乗り換える駅)からファックスが来て,
財布の届け物があったんだけど,中にこの定期が入ってたから,
購入者の記録を調べてくれ,って照会があったんですよ。」
と言ったのだ!!!
「それッ,うちですーーーーーーーーーーーーッッッ」
私と息子は小躍りして喜んだ。
やったーやったー
この世の中,捨てたものではない。
きちんと届けてくださるかたがいらっしゃるのだなぁ。
息子は心なしか目が潤んでいる(大丈夫か,オイ)。
人の情けが心に染みたのだろう。
「アンタねぇ,これから,何か落し物があったときは,
まっさきに拾って届けてあげるんだよ。
自分がしてもらって嬉しかったことをいつまでも覚えておくんだよ。」
と言うと,
「うん,うん」
と満面の笑顔で喜びを表していた。
財布の中身は奇跡的にそっくりそのまま残っていた。
1円も減ることなく。
どこのどなたかは存じませぬが(教えてもらえなかったらしい),
親切に届けてくださってありがとうございました。
息子はよい勉強をこの一昼夜でたっぷりしました。
親子して心がじんわりと温かくなった日なのでした。
ん・・・?
財布はそっくりそのまま戻ってきたよね,中身も・・・
で,息子は,「バイト」とは言え,
ばあちゃんにだいぶ色をつけてもらってお金をもらった・・・
おいおーーーーーい
結局のところ,お金増えとるやないかーーーーーい