酸性が強いものを食べたり飲んだりすると、
酸によって歯が溶け出してしまうリスクがあるというのです。
歯科の専門用語では“脱灰”といいますが、
歯のエナメル質から
リン酸カルシウムの結晶が溶け出してしまうことです。
こういう症状を酸蝕症といいますが、
非常にゆっくりと進行するため、
これまでは大人になってからなるものだと・・・。
しかし、
子どもの食生活環境が変わったことなどから、
大人だけでなく、
子どものうちから酸蝕症になってしまう例が起き始めているらしいです。
pH値は数字が小さいほど酸性が強く、
大きいほどアルカリ性が強いことを表しています。
中性はpH値7で、
それより数値が小さければ酸性、
大きければアルカリ性ということです。
口の中は通常pH6.5~7で、
弱酸性から中性となっています。
通常、私たちの口の中で唾液が十分に分泌されていると、
酸を洗い流し中和してくれるので問題ありませんが、
歯の表面を覆っているエナメル質は、
pH5.5以下の酸性のものに対して弱く、
酸性の飲食物ばかりを取っていると脱灰が起こってしまい、
酸蝕症を引き起こすと言われています。
飲み物や食べ物など“外因性”の原因以外に、
“内因性”といわれるもので、
大きな原因は、塩酸からなる胃液です。
胃液のpH値は1.0~2.0と強酸のため、
これが口の中に流れ込むことによって
酸蝕症を引き起こしてしまうことがあるようです。
逆流性食道炎、拒食症、アルコール中毒、摂食障害などで
嘔吐などを引き起こすと、
胃液が歯に悪影響を与えかねないので、
これらの疾患を元から治療することが必要のようです。
かつては、
メッキ工場やガラス工場などで酸性ガスを吸ってしまうことで、
酸蝕症を引き起こす職業が原因と考えられた。
しかし現在では、
作業環境の改善によって減少していると・・。
酸蝕症に対して、
食後30分の間は歯を磨かないほうがいいという
意見があるようです。
エナメル質が軟化しているときに歯を磨くことで、
酸蝕症が進行してしまうリスクがあるからだと・・。
これに対して日本小児歯科学会は、
子どもが通常の食事をしたときは早めに歯磨きをして、
歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことのほうが重要で、
という見解を表しています。
酸性飲料を飲んだとしても、
エナメル質への酸の浸透は象牙質よりずっと少なく、
唾液が潤っている歯の表面は酸を中和する働きがあります。
酸性飲料の頻繁な摂取がない限り、
すぐには歯が溶けないように防御機能が働いているので、
一般的な食事では酸蝕症は起こりにくいと考えられるようです。
子どもの歯磨きの目的は、
虫歯予防のために歯垢の除去、
すなわち酸を産生する細菌を取り除き、
その原因となる糖質を取り除くことです。
歯磨きをしないままでいると、
歯垢中の細菌によって糖質が分解されて酸が産生されて、
歯が溶け出す脱灰が始まります。
このように、
歯垢中の細菌がつくる酸が歯を脱灰してできる虫歯と、
酸性の飲食物が直接歯を溶かす酸蝕症とは
成り立ちが違うものだと・・・。
また大人の場合でも、
極端に酸性食品が多いメニューでない通常の食事の場合には、
食後の歯磨きは、虫歯を予防するために必要だということです。
ただ、これまでの食習慣によって、
酸蝕症が進行してしまっているのではないかと
心配する人もいるでしょう。
酸蝕症は自分では気づきにくいので、
そんな場合は、歯科医を受診しましょう。
歯科医に通院するのは
歯の痛みを感じたときという人も多いかもしれません。
しかし、虫歯も歯周病も酸蝕歯も早めの対応が重要です。
自分の歯がどんな状態にあるのか、
確認しておくことがお勧めのようです。
また、酸蝕症の予防には、
適切なブラッシングを心がけることが大切のようです。
ブラッシングの歯磨き圧は、
毛先を歯面に当てた時、
毛先が軽くたわむ程度(150~200g)がいいとされて、
歯磨き圧が強すぎたり、
乱暴であれば、エナメル質は摩耗しますよ。
酸性食品の摂取頻度が高まれば、
一気に酸蝕症が進行してしまうリスクがあるというのです。
歯を丈夫に保つためには、
歯科医に相談してみることが一番ではないでしょうか?
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