市販のチューブ入り油絵具を使って古典絵画の模写をするなら、油絵具の色を合わせること、これが大事。青はウルトラマリンを、緑はティールベルトを、白はシルバーホワイトを使う。その方が再現しやすい。オキサイドクロミウムグリーンやヴィリジャン、コバルトブルー、チタニウムホワイトを使うと却ってやりにくくなる。元の絵で使われているのと違う色味の絵具を使うわけだから、当然と言えば当然です。
人間には模倣する能力があるので、やれば結構似ます。ベラスケスの模写は大変だと言われていますが、私がやってみた「青い服のマルガリータ王女」は結構似てます。私が元にしたのは「週刊アートギャラリー20 ベラスケス」の627ページの写真です(全シリーズでの通し番号になっているので627なんて数字になってますが、1冊当たり約30ページです)。模写なんてやっても似ないと最初から諦めていたり、怖れていたりする人が結構いますが、決してそんなことはありません。試しにやってみればわかることです。
私が模写する場合、とにかく元の絵(と言っても写真になるのですが)をよく見ます。じっと見て観察します。そしてどんな下地の上に色が乗っているかを推測します。黒い色の下地に青い色が乗せられているのではないかとか、灰色の下地に黄土色が乗せられているとか。これを私は「見破る」と言っています。もし模写する絵を見破れたら、そしてその推測が正しければ、確実にそっくり似せられます。逆に見破れないと、見破れないまま模写することになり、その結果当然似ません。私の場合、レンブラントとアングル(こちらは近代絵画ですが)は似ませんでした。つまり見破れなかったということです。こういったことは個々人によって違ってきます。個人によって模写しやすい画家、そうでない画家があります。
模写は楽しいですよ、本当に。私の密かな楽しみでもあります。楽しすぎてこればっかりやってしまうので、いつの頃からか模写は禁止しております(もう十分堪能いたしました)。
せっかく絵を描いているのだったら、模写の1枚もしないなんてもったいない(模写の楽しみを知らないなんて損ですよ)。密かに模写をしてみてはどうでしょうか。
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