春と秋はいつもたくさんのエキシビションに出かけます。
飛行機の中で雑誌を読んで急に行くことにした
原美術館のエリザベス・ペイトン「still Life 静/生」展
「オペラを聴く人は物語だけじゃなく、音楽、照明、美術、をうしたものの
レイヤーが深層心理に語りかける。そして自分自身でも気づかない何かを
呼び覚ます。私の絵にも見た目にはわからないいくつものレイヤーがある」
との語りで。
絵と絵との空間をたっぷりとって展示された肖像画と対峙していく。
とても特別な時間だった。強いもの、内省的なもの、病的なもの、美しいもの。
そして愛おしいもの。まったく知らない人の肖像を見ながら、自分自身のこと
も考えてしまう、不思議な時間だった。
大好きな原美術館のカフェダールでいつもの白ワインを飲みながら、
すべての肖像画の印象を作品リストにぶわーっと書いた。書けてしまうくらい
どの作品も印象的だった。今までに観た映画、絵画、景色、出会った人、音楽
が脳内に駆け抜けていく。ああ、自分も生きてるんだなって思う。
北斎美術館
2016年に開館した北斎の美術館。とりあえず行っとこうと思って
建築も楽しむために両国まで足を運んだ。美術館前には開花を待つ桜。
そしてワイワイと子供達が遊んでる♫
こじんまりした気持ちの良い美術館だった。残念ながらちょっと飲みすぎて
眠たくなってしまったけれど、やっぱり北斎って天才だなーって思った瞬間
がたくさんあった。北斎と娘応為の蝋人形はリアルすぎてぞっとした(笑)
三菱一号館美術館「オルセーのナビ派」展
これもまた良かった。ナビ派が何をどのように描こうとしていたかがよく
理解できた。特にモーリス・ドニの作品なんかはオルセーで観るよりずっと
集中して鑑賞することができた。三菱一号館のこじんまりした暗めの空間が
ナビ派独特の親密性と見事にマッチしていると思う。広すぎる展示空間では
絶対に味わえない作品との距離感。絵と自分とのチューニングが合う。
なにより高橋館長の並々ならぬナビ派への情熱を感じる。
音声ガイドからはその時代の空気の振動を追体験できる音楽が流れて、
さらに絵との親密度が増していく。
R.アーンの灰色の歌、そのとろけるような旋律に脳が喜び、何度も何度も
聴いて絵の世界に落ちていく。
森美術館『N.S.ハルシャ展 チャーミングな旅』
一日で3つのエキシビを観て、18時。体力的にすごく厳しいところだけれど、
時間がないので22時まで開館している森美術館はいつも一番最後。
ささっと軽く見てホテル帰ろうって思ってたのに・・・・
18:30に美術館に入り、出たのが21:30!!
朝から恐怖の飛行機に耐え、展覧会4つ行ったけど、最後のハルシャでなんか
すごく元気になってしまった!テンションが上がってるだけかもしれないけど。
私たちは来て、私たちは食べ(↑部分)、私たちは眠る
このシンプルな、祈りにも近い反復の絵画を隅から隅まで見ていくと、
なぜだかわけわからないけど、それだけで何かが浄化されていく。
私たちは来て、の部分
「あ、おじさんなんか刺さって流血してる・・・」
「あ、川を渡る人、デュシャンの泉持ってる・・・」
など、いくつもいくつも見ていくうちに、すんごく元気になる(笑)
悩んでる人、義足が枕になってる人、
いろんな人がいるけれど、隔てる空間なく
ただただ歩き、食べ、寝る。という究極のシンプルさに癒されていく。
繰り返しが恐ろしいくらいに自分に訴えかけてくる。
この作品はでもまだ入り口のところ。
そういえば印象的なハルシャの言葉があった。
「肉体と精神のつながりを歳をとるごとに感じる。
毎日生まれなおしている気分です。
意識のバランスがとれれば、凧のように漂うことができる」と。
どうぞみなさんも足を運んでみてください。
マイスール生まれのインド人の描く世界を体験してみてください。