伝孝謙天皇
力強い筆力を示し、
引き締まった瀟洒な感じを受ける。
「提」字は王羲之の書法そのものである。
当時の王羲之への傾倒振りが覗える。
孝謙天皇は聖武天皇、光明皇后の女子の御子である。
お二人の男子の御子が居らず、
聖武天皇の後を継いで天皇となる、女帝である。
橘奈良麻呂、藤原仲麻呂、道鏡、と、
血生臭い政争に関連している。
藤原仲麻呂の乱後、
重祚(一度退位した皇帝が再び皇帝の座につくこと)して、
称徳天皇となる。
称徳天皇は生涯独身で子も兄弟もなく、
父である聖武天皇にも兄弟がなく、
称徳天皇を以って天武天皇の子孫は絶える事になる。