ポエブクロウ

自由詩_Azukizawa

狂気

2022-08-22 13:13:01 | 

220822_狂気

戦後5、6年の頃
津田山の陸軍墓地にときどき
軍服のまますぶりをする男がいた
だれもその人を「気が触れている」とは言わなかった
戦争ごっこをしているだけ、と子どもたちは思い、
並んで敬礼したり、はきはきした声で番号をいったりした
──しかし、日が暮れるとみんな家に帰った

若い男女だけが蚊にさされながらいちゃついた

その男はいつのまにか消えた
どこへいったのか

日本兵という狂気から冷めたのか……

しかし冷めなかった人々は戦争が終わってしばらくは
あっちこっちで惨殺を繰り返した
あるところでは島の住民をだれかれとスパイ扱いをしては
処刑し焼き捨てたりした
あるところでは 
敵艦隊が来たと偽の情報を流し、
出撃準備をさせ事故に見せかけ何十名も殺してしまった

津田山の陸軍墓地の男は狂気を持っていたが
だれも殺さなかった、
子どもたちと遊ぶ心を持っていたから

 

 

 

 

 

 

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ひらせがわ

2022-08-22 05:43:18 | 

 

平瀬川 ひとつとっても 近代史

 

自分の街のみじかな河川のことはなかなか見ないものだ。
それはたぶん改修されすぎた都会の溝のようになってし
まったイメージがどうしてもあるからだ。
しかし、絵にしたり小説の中に取り入れてみたりすると、
その河川の別な顔がみえてくる。
ちいさな河川でも農業用水として利用したい、という思
惑と毎年の洪水に悩まされるのを解決したい、という悩
みがあれば、市の事業として改修が進められる。
それも長い年月かけて行われる。
そういう時の流れと重ね合わせれば、小さな河川でも
「近代史」として意識することが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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