脳のミステリー

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11.痺れと格闘:その1

2005-07-18 07:12:19 | Weblog
 視覚も聴覚もダメージを受けた訳ではないが、自分の目で確認が取れる眼球に関しては面白い事に未来は気付いた。元来涙腺がとても細くて右目は視力がいいにも拘わらず涙が出ると涙腺が溢れて頬に零れ落ちるのが常だった。水道の蛇口の真下の穴が詰まって水の流れが思うようにいかない状態なのである。目の不快感は倒れる前も後も変わらなかったが、半身不随になり痺れを感じるようになって更に奇妙な状態を見る事になった。幾度かそれを経験した未来は、ある日、目に痺れを感じた時、慌てて洗面所に駆け込んだ。とは言っても右足を引きずりながら自分なりに一生懸命急いだのである。間に合った!と鏡をじっと見詰めると未来の二つの目はいつもと変わらずパッチリ開いているのが左眼に映った。ところが異常な痺れが続く右目に映るのは何と奇妙なものであったか。鏡には映らないものの、右目の前一面に広がって視野を塞ぐ異様物は説明の出来ないものであった。通常痺れは実際に目の機能には無変化無反応に近いのだが、その痺れが極度に急速に右目を襲うと右目の視界は塞がれてしまうのである。道路に水溜りが広がって、その上を車が通った後に水と油が混じって妙な模様になって淀んでいるのを見た事があるだろう。あの何とも言い難い模様が右目いっぱいに広がるのである。我が物顔に図々しくも目前に塞がる厄介者は間違っても霧のロンドン・ブリッジ・タウン・・・なんて優雅に歌を誘うものではない。早く消えて!を心の中で絶叫するほど嫌なものである。歪んだものの存在が数分続くこの痺れと共に現れる摩訶不思議な状態は何とも不可解で不愉快なのだ。カラー画面かって? 水と油が混ざって描き出されると水は透明でもそこに流れ出た油模様を創り出すのである、と未来が表現出来るのだから多分カラーなのだろう。一瞬の出来事で終わる事が多く、長くても数分なので多少パニック状態に陥る未来には残念ながら、はっきりと確認出来ない。
 一般的な経験を考えると、極寒の日に指先が白くなって痺れ、感覚を失う事があるが、指先の内部までは見えない。目にこの痺れが起ると全く表面化せずに内乱が起きるという訳だ。恐るべし、視覚の力! 両下肢が、または両上腕が、まして全身が麻痺していたり、死んでしまっていて中枢の脳が働いていたら、どうなるだろうと未来には想像したくても中々出来なくてジレンマに陥ってしまう。未来の視野に入った時だけはさすがの右半身も気付くが、入らなかった時の触感は無という事になる。感覚障害を起こしているのに痺れという厄介物はやたら未来の神経を逆撫でするのである。

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