新しい発見がある度に未来は左半分が正常に動くという事は普通以上の効果を引き連れて働くものなんだな、と改めて思って感心する。日本ではミレニアムイヤーに初版が売り出された本がある。とても興味をそそった本がある。ラマチャンドランという著名なインド人が脳の中の幻について書いた本である。「脳のなかの幽霊」と題したこの本は北里病院の理学療法士に薦められて未来は手に入れた。かなりの量だが、ユーモアがあちこちにあって先ず一気に読んでしまうほど面白い著述である。実は分厚い本を机の上に置いて、左手で押さえながら捲っては読むという行為は後遺症の新人未来にとっては至難の業なのであるが億劫がりもせずに読んだ。そして、恐らくインド系イギリス英語で書かれたものだろうから原書も注文してみようと未来は思った。人体を簡単に見てみると、脊髄の上に脳と繋ぐ延髄という物があり、次に橋(キョウ)という物、そして小脳がある。これらの上にかの有名な脳半球が二つ乗っかっているわけだ。あの左右反対の運動を支配する半球である。痺れ同様、未だに悩んでいる右足の内反は未来にとっては体の中の内乱である。左脳が襲われた未来の脳は左右を繋ぐ脳梁という線維の束がダメージを受けたのだろうか、二つの脳の連絡が絶たれてしまったのだろう。ピッタリ半分が死んでいるという事がこれほど不快な事だとは以前健常者だった未来には想像できなかった。正常な筈の左側が極端にハードな動きを強いられると、敢えて意地悪になるのだろうか。左半身は右の手足に反乱を齎す。右手はやたらと身体に付いてきて離れがたい状態になる。右足は中へ中へと寄ってきて左足の邪魔になるほど近寄ってくる。それも無意識の内に左側には意識的以上に強い勢いで迫ってくるのである。面白い良書の著作者ラマチャンドラン博士の説明は未来に突拍子も無いことを思いつかせた。脳梁で二つの脳は互いに連絡しあって同調を保っていく筈だったのに片方が永久休止宣言を勝手にしたのでそれではと、もう片方がストを起こして困らせるのだろう。
未来はこんな事も考えた。例えば、手を動かす時は前頭葉の運動野に連鎖的な事が生じるのだが、ここでは外からの触覚を受け取るのではなくて返信として送られる信号が脊髄を通って反対側の筋肉に届く筈なのだが未来の神経インパルスは何故か長い道中、何が起きるのか解らないが現在の所は確かに到達しないのである。指令信号が正しく筋肉に受け取られて初めて、お返しに脊髄経由で小脳と頭頂葉に正しい情報が伝えられるのだが、確かな筋肉でなくても廻りの、近くの筋肉にひょんな事から脊髄を通って到達するささやかな望みを持つべきだろうか。全く動かす事が出来なかった右半身が時を経て、足だけでも多少でも動く事があるのだろうか。望みの薄い手の動きでも、動くような事があるが、これらは確かな機能が正確な動きをするのではないような気がするのを自分でも否定出来ない。的外れの筋肉が働いて、足が、手が、単に何等かの動きをするのであって未来の要求を満たしてはくれないのである。そんな動きを見る度に未来は「動かないよりマシか!」と半ば諦め、半ば開き直る事もあるのが事実である。
NB:今年に入って半年経ち、即ち、ラマチャンドラン博士のミステリー・オブ・ザ・ブレインという本に出逢って僅か半年後に未来は不思議な鏡のお手伝いをする事になる。この事は最終章に詳しく記す事にしているので乞うご期待!
未来はこんな事も考えた。例えば、手を動かす時は前頭葉の運動野に連鎖的な事が生じるのだが、ここでは外からの触覚を受け取るのではなくて返信として送られる信号が脊髄を通って反対側の筋肉に届く筈なのだが未来の神経インパルスは何故か長い道中、何が起きるのか解らないが現在の所は確かに到達しないのである。指令信号が正しく筋肉に受け取られて初めて、お返しに脊髄経由で小脳と頭頂葉に正しい情報が伝えられるのだが、確かな筋肉でなくても廻りの、近くの筋肉にひょんな事から脊髄を通って到達するささやかな望みを持つべきだろうか。全く動かす事が出来なかった右半身が時を経て、足だけでも多少でも動く事があるのだろうか。望みの薄い手の動きでも、動くような事があるが、これらは確かな機能が正確な動きをするのではないような気がするのを自分でも否定出来ない。的外れの筋肉が働いて、足が、手が、単に何等かの動きをするのであって未来の要求を満たしてはくれないのである。そんな動きを見る度に未来は「動かないよりマシか!」と半ば諦め、半ば開き直る事もあるのが事実である。
NB:今年に入って半年経ち、即ち、ラマチャンドラン博士のミステリー・オブ・ザ・ブレインという本に出逢って僅か半年後に未来は不思議な鏡のお手伝いをする事になる。この事は最終章に詳しく記す事にしているので乞うご期待!