時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

レコーディング最終段階。コーラス入れと、ミックス。

2011年07月21日 | 自主制作アルバム

私の自主制作アルバム「空を見ていた。」が、オケを録音し終わり、ボーカルも入れ終えた時。

録音に関して言えば、後に残っている作業は、コーラス入れだった。

私は、学生時代にカセットで多重録音をしてる頃から、コーラスは好きだった。

私が好きになってきたバンドが、コーラスが優れているバンドが多かったせいもあるだろう。

ビーチボーイズ、イーグルス、ビートルズ、その他たくさん。

 

自分のアルバムの収録曲には、すべての曲にコーラスをいれたかったくらいだ。

ハモり・・ではなく、コーラス。

「空の少年」「母校が消えた日」「もっと早く出会えていたら」「少年編~青年編」には、コーラス用のメロディ・・・メインメロディとは別個のメロディを用意してあった。

実際そのコーラス用のメロディを録音し始めもしたのだが、録音したものを聴いてみると、どうも自分のイメージと違う。

イメージ通りに歌えていない。

そこで悪戦苦闘し始めるのだが、レコーディングスタッフが見かねて、「このままいくと、コーラス入れで何日もかかってしまうぞ」と進言してきた。

そんなことしたら、エンジニアによるミックスの時間がなくなる。ミックス・・・録音した各トラックの音を最終調整したりする作業だ。バランスなど。

ミックスの時間がなくなってしまうのは、まずい。

そこで、コーラスをやめて、鍵盤に切り替えた部分がある。

特に、「もっと早く出会えていたら」や「青年編」のオルガンのパートがそうだ。

欲を言えば、鍵盤もコーラスも両方入れようとしたが、終わってみればオルガンの音で正解だった気はしている。

オルガンの持つ独特の暖かい音色が、けっこう気にいっている。

 

特にラストの「青年編」での、オルガンのバッキングと、それに乗っかったリードギターの音色はけっこう気にいっている。

「青年編」では、オルガンのバッキングに、デュポンのリードギターと、ラミレスのガットギターのリードギターのかけあいが乗る・・そんな構成になっている。

メインメロディを奏でているリードギターがデュポンMD20というギターの音。デュポンは、「里山の向こうに君が見える」の2か所の間奏でもリードギターとして使っている。

で、「青年編」で、デュポンのリードギターに「合いの手」のように(?)からんでいるのが、ラミレスのナイロン弦のギターの音である。

 

デュポンは、通常のアコギとは少し違う音がしているし、それにからむガットギターは、2種類のギターの音の傾向の違いがよく出てるのではないだろうか。

 

 

ともあれ、録音すべきものはすべて録音し終わり、後はエンジニアの独断場。

録音された音の調整が始まる。

ここははひととおり、エンジニアにお任せになる。

これが実に根気のいる作業で、エンジニアは、録音されたすべてのトラックの音を調整していく。

音のバランス、テンポの修正など。

1曲につき、何時間もかかったりする。

その間、私はやることはないので、スタッフと別室でダベったり、無人の応接室などで、仮眠とったり。

この作業こそ、エンジニアの孤独な作業でもあり、腕の見せ所・・って感じ。

1曲作業が終わると私が呼ばれて、作業が終わったばかりの曲をモニター。

で、こちらの要望を伝えてゆく。ミックスの作業で、これが楽しい。

楽器演奏や歌を録音することよりも、このミックスの作業の方が楽しいかもしれない。

それぞれの曲に入れるべき素材・・・要するに各トラックの「音」を揃え終わり、録音した音を再構築していく。

曲が・・サウンドが、だんだん形になっていく。形にしてゆく。

この作業では、自分の頭の中にサウンドの完成図がイメージできてないと、エンジニアに何も伝えられなくなる。

この作業、とっても大事。

 いくつもの素材・・・「録音した音」のことだ・・・の中から、必要な音を選び、不要な音はカットしたり。

その結果、録音したにもかかわらず、「使わないトラック」「ほとんど聞こえないトラック」なども出てくる。

どのトラックを選び、どのトラックの音量をメインにするか・・によって、曲の表情はまったく変わってくる。

蛇足だが、先日、ブライアン・ウィルソンの「グッド・バイブレーション」という曲の制作秘話を紹介したテレビ番組があったが、そこには、あの超難曲「グッド・バイブレーション」のレコーディングで録音された「使用されなかった音」が一瞬流れた。

面白かった。あの曲には、本当はこんなパートも録音されていたのか、こんなパートもあったのか・・・と実感。

でも完成形では使われなかったからレコードでは聞こえない音だった。

もっとも、あの曲では、無数の音が録音されているから、そんな「トラックの選択」も可能だったんだろう。

私の「空を見ていた。」では、良くも悪くも、あんな無数の音は録音していない。だから、選択の幅は狭かったのだが、その分選びやすかった・・といえるのかもしれない。

 

 

そして、さらに。

 

リバーブのかかりぐあい。

フェイドアウト、フェイドインのタイミングの指定。

サウンドエフェクトの入り方。かけ方。

各トラックの音量のバランス。

各トラックの音の位置・・・いわゆるパンポット。

オケとボーカルの音量バランス。

その他・・。

 

急きょ弾き直したい個所が出た時(ほんの一瞬だったりする)に、急きょ録音ブースにはいって、チョコチョコっと音を入れたり。

こんな作業がエンジニアと私のやりとりで進んでゆく。

で、だんだん1曲1曲の姿がまとまってくる。

スタジオならではの、楽しい作業。

 

蛇足だが、「指パッチン」が出てくる個所があるが、あの「指パッチン」は実は私ではない。

最初私が録音したのだが、録音した自分の指パッチンを聴くと、どうも納得いかない。

そしたら、エンジニアが試しに指パッチンしてみたら、明らかに私よりうまい(笑)。

そこで、急きょ私はエンジニアにお願いして、指パッチンをエンジニアにやってもらうことにした。

で、更に、当初の私のイメージ通りに、録音した指パッチンの音の位置をリクエストし。

 

そうです。「空の少年」に出てくる指パッチンは、エンジニアさんの実演による指パッチンなのでした(笑)。

私の指パッチンは、あんな乾いた音は・・でましぇん・・。

 

 

とまあ、こういう作業が続き・・・・一通り完成したのは、レコーディングプラン最終日の朝10時頃だった。

徹夜での作業だったので、本当は眠かったはずなのだが、気持ちがハイになっており、あまり眠くないのが不思議だった。

 

終わって、事務所のスタッフのところに行ったら、スタッフがねぎらいのビールを出してくれた。

あんな充実したビール、あんなにうまいビール、そうそう味わえるもんじゃない。

プランニングスタッフは、私の録音の最中の段階を見て、少し心配してたようだ。

私にとっては、初めての個人名義でのスタジオ録音だったから、なおさら。

録音してる最中というのは、ほとんど一人での多重録音である場合、各トラックの音を一つずつ録音していくから、完成した時の全体像は分かりづらい。

あくまでも、完成図は私の頭の中にしかなく、それに向かって一つずつ録音してゆく。

バラバラに録音していく「各トラック」という「パーツ」が、最終的にどうまとまるのか・・・・・と心配してたようだが、それは私にとっては心配無用だった。

昔、原始的な方法ではあったが、カセット同士でのピンポン録音(多重録音)をしていた経験が、ある程度役にたったと思う。

だから、各トラックを録音しながら、音の迷子、パーツの迷子になることはなかった。

スタッフは満面笑みだった。

 

で、できたばかりの音源を事務所で聴く。

「母校が消えた日」を聴きながら、エンジニアは「この曲聴いてると、学校を思い出しますね」と、しみじみとポツリ。

また、「里山の向こうに君が見える」を聴いてる時、エンジニアさんにとっては、当初この曲を録音し始めた時の印象と、完成した状態でのこの曲の印象がけっこう変わったようで、「ずいぶん渋いサウンドになりましたね」と何度も言ってくれた。

 

 とにもかくにも・・ひととおりレコーディング作業は・・終わった。

録音スタジオを使って行う作業が・・・音源に関しての作業が・・・終わった瞬間だった。

あとは、時期を待ってジャケット撮影だった。

 

疲れた体と精神に、朝のビールがとにかく優しかった。

 

事務所の窓からふと見下ろせば、、朝の築地の町が見えていた。

もう、とうに町は動き出していた。

夜の闇を抜けた道路は活気をとりもどし、太陽はキラキラ輝いていた。

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自主制作アルバムでのボーカ... | トップ | 夏休みの終焉の寂しさから自... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

自主制作アルバム」カテゴリの最新記事