ある音楽検証番組で語られていたのだが、最近の人気曲にはイントロがない場合がけっこう目立つようだ。
それは、昔と今で音楽の聴かれかたが違い、今は出だしの数秒を聴いてリスナーが気に入らないとすぐにその曲は飛ばされてしまい、違う曲を聴かれてしまう場合が多いからだとか。
そのため、長々とイントロで引っ張るのではなく、イントロをカットしていきなり歌に入る曲が多い・・・という分析がなされていた。
米津さんなどは、曲作りにおいて、そのへんの現代リスナーの傾向もちゃんと計算に入れているのかもしれない。
イントロか・・。
でも、イントロがなくて、いきなり歌に入る曲というのは、昔からもあったよね。
分かりやすい例がビートルズ。
ビートルズの曲にはイントロが秀逸な曲も多いが、その一方でイントロがなくていきなり曲にはいるパターンも多かった。
そう思い、ちょっとビートルズのイントロなしの曲をあれこれ思い出してみた。
すると・・いやあ、思った以上に多いこと、多いこと。
思いつくだけ、ちょっとあげてみよう。カバーは除く。
PSアイラブユー
イットウォントビーロング
オールマイラビング
キャントバイミーラブ
イフアイフェル
ヘルプ
ノーリプライ
ノーウェアマン
ガール
エリナーリグビー
イエローサブマリン
フォーノーワン
アイムオンリースリーピング
ハローグッドバイ
ヘイジュード
ハッピネスイズアウォームガン
アイウィル
ジュリア
クライベイビークライ
マックスウェルズシルバーハンマー
ペイパーバックライター
ザロングアンドワインディングロード
すぐに思い出せた曲をあげてみたが、このほかにもあったはず。
人気曲や有名曲だけでなく、ひねった曲にもそういうアレンジがあり、多岐にわたっている。
いやはや、思った以上に多かった。
イントロがないということは、いきなり本題ともいうべき歌に入ること。
しかもビートルズの場合は、特に初期は短い曲が多い。
イントロなしでいきなり歌に入り、途中にあれこれ工夫があり、しかも曲が長くなくて、もっと聴いていたいのにと思わせるぐらい短めに終わる。
それだけそぎ落として、曲の密度が濃かったんだね。
また、仮にイントロがあったとしても、イントロが一瞬で終わるインパクト絶大の曲としても、「ハードデイズナイト」、「シーラブズユー」、など目白押し。
「ハードデイズナイト」は、コードストローク1発だけだし、「シーラブズユー」はリンゴのドラムが一瞬短く細かく入るだけ。
現代でもビートルズの曲が若い人にも受け入れられてるのは、そのへんにも秘密があるのかもしれない。
かといって、イントロを重要視してなかったわけでもなく、逆にイントロが印象的な曲も多かった。
「愛こそはすべて」「バックインザUSSR」「ミッシェル」「インマイライフ」「アンドユアバードキャンシング」「アイフィールファイン」「サージェントぺパーズ」「マジカルミステリーツアー」「オブラディオブラダ」「サムシング」「ヒアカムズザサン」「アクロスジユニバース」その他。きりがないので、このへんでやめておくが、このへんはイントロも秀逸だ。
彼らはイントロの重要性がわかってたのはもちろんだったが、それと同等にイントロなしの効果も十分に把握してたのだろう。
私は自作曲を作る時、イントロというものにこだわった曲もけっこうあった。
特にバンド時代はそうだった。
バンド用の自作曲を作る時、ボーカルのメロディよりも先に、イントロフレーズが先に浮かんだことも多かった。
それは、バンドでやった場合のサウンドやアレンジの完成形をある程度想定していたからだった。
バンドを離れ、アコギユニットや弾き語りで歌うようになってからも、なんだかんだでイントロは作っている。
とはいえ、イントロ抜きの始まりの効果もそれなりに感じてはいたので、例えば私の自主制作アルバム収録の「空の少年」という曲など、アルバムではイントロなしのアレンジにしてある。
だが、ユニットでその曲をライブでやる場合は、イントロ用のフレーズも作り、今ではライブではイントロありのアレンジでやっている。
どちらがいいかは、自分の中で結論は出ていない。
まあ、この曲はアルバムバージョンと今では多少変更点があるからね。
思うに・・・弾き語り系で歌う人の曲って、イントロなしの曲って・・・案外少ないんじゃないかな・・・ふと、そんな気がしてきた。
PCなどでオケを自身で作って歌うシンガーソングライターにはイントロなしの曲は近年多いようだけど。
今のリスナーの曲の聴き方が、出だしの数秒を聴いて判断してしまうことが多いのならば、長々としたイントロは、デメリットになることはあるのかもしれないね、やはり。今の音楽の聴かれ方の風潮の中では。
もしかしたら・・テレビのバラエティで「その先」をとかく引っ張る癖があるが、その「引っ張り」に辟易としてるのも影響してるのかな・・などと思ったりもする。
イントロはある意味、歌の本筋の「導入」であると同時に、「引っ張り」でもあるのかもしれないから。
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