私の小学校時代、子供たちは たいがい筆箱の中に小さなナイフを入れていた。
それはもちろん、人を傷つけるためのものではなく、もっぱら、鉛筆を削ったりするためのものであった。
時には、消しゴムを削って、オリジナル判子を作ったりもした。
特に、鉛筆を削るためには、必需品であった。
学校の自分の机には、鉛筆削り器などなかったから。
いや、厳密にいえば、筆箱に収まる超ミニサイズの鉛筆削り器がなかったこともないのだが、それよりもその小さなナイフで削るほうが、なにやら楽しかった。
授業中、授業に飽きた時などは、そのナイフで鉛筆を削ることは、ちょっとした時間つぶしにもなった。
おかげで、クラスには、鉛筆削りの名手がたくさんいたし、自分もその中の一人だったかもしれない。
で、その「小さなナイフ」の名前は・・・・「ボンナイフ」といった。
小さなナイフとはいえ、一応刃物であるのは間違いないわけで、その気になれば人を傷つけることも可能だっただろう。
でも・・当時の子供の発想の中には、それを使って他人を傷つけるなどという発想は・・なかった。というか、思いつきもしなかった。
一種のおもちゃみたいな感覚だった。
鉛筆を削ってる時に、刃が滑って自分の指を傷つけたりした時に、刃物であることを実感したりはしたけれど。
・・でも、それで大怪我に至った・・という記憶は私にはない。
皆、ボンナイフの扱いには、なれていたんじゃないかな。たまに小さな切り傷をつくることはあっても。
ボンナイフは・・今もあるのだろうか。
ほとんど見かけないのだけれど・・。
今は鉛筆削りが普及しているので、こういうナイフは必要なくなったのかもしれない。
いや・・それ以上に・・・今の世の中の物騒さが、こういう「文房具」を許さないのかもしれない。
なんでもそうだとは思うが、こういう道具は、使い方次第なのだ。
凶器にする発想がなければ、それは便利な道具である。
だが、凶器にする発想があると、なまじ刃物であるだけに、いくらでも凶器になってしまう。
要するに、使う人の発想や意識次第なのだ。
さっき、たまに小さな切り傷をつくることがあった・・と書いたが、それによって大問題になったという記憶はない。
だいいち、ちょっとくらいの傷など、当時の子供世界にはよくあることだった。
親がでてくることはなかった。
今はどうなんだろう。
もしも今もボンナイフがあって、子供たちが学校でそれを使って、小さな切り傷でもつくろうものなら、親が出てきそうな気がする。
学校や、へたしたらメーカーへのクレームをつけそうな気がする。
で・・そうなると、結局はボンナイフは学校では使用禁止・・・などという事態になってしまいそうではある。
というか、すでにそういうケースがこれまでにあったのかもしれない。
だから、ボンナイフの姿をあまり見かけなくなったのかな・・。
ありそうな経過ではある。
使う子供たちの発想の変化、その子供たちの親の意識、社会環境の変化・・・物事の推移は、色んなものの隆盛を呼び込むこともあれば、衰退を呼び込むこともある。
ボンナイフ。使い方さえ間違わなければ、便利な道具だったと思うのだが。
もっとも、カッターナイフに取って代わられた・・という話もある。
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