時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

強くなりすぎた主人公

2015年07月26日 | 漫画・アニメ、そして特撮

コミックなどを読んでいて、主人公がだんだん強くなっていくのは面白い。

初めはそこそこの強さでも、物語が進むにつれ、新たな能力を身につけたりして、当初中々かなわなかった敵に勝てるようになったりする展開は、読んでてワクワクするし、先も気になるし、面白い。

ところが、それが延々と続くと、知らない間に主人公が自分の予想を超える強さの高みに達してしまっていたりもする。

当初は、主人公が少しづつ強くなるにつれ、敵の方も少しづつ強くなっていけばいいのだが、そのコミックの人気ゆえに物語が長く続くと、いつしかとんでもない強さに主人公がなってしまうことになる。

そうなるとどうなるか。

主人公をピンチに陥らせたり、あるいは主人公以上に強そうな敵を設定するのに苦労するようになるだろう。

そうなると、主人公は更にそういう敵を倒すために、更に強くしていくことになる。

こういうことを繰り返していると、やがては・・・もう敵がいなくなる。

それまでの敵よりも更に強い敵を登場させていくとなると、キリがなくなる。

なぜなら、物語を更に続けて行く場合、更に更に敵を強くしていかないとならなくなるからだ。

相対する存在があったとしても、強くなりすぎた主人公の前では、もうその相対する存在は敵のうちに入らなくなってしまう。

そうなると、物語は盛り上がりにくくなっていく。

そうなると、物語の継続に行き詰まり、終わらせざるをえなくなる。

例えば、主人公が死んでしまうとか、第2部を作ってそれまでの主人公に代わる新たな主人公を登場させたりとか。あるいは、主人公を行方不明にさせるとか,主人公の能力を何かの理由でレベルダウンさせるとか。

 

もしも、新たな主人公を登場させる場合、危惧は、その作品の読者にとっては、どうしても最初の主人公が主人公としてのイメージが強い。

その主人公で作品が始まり、その主人公で読者はその作品に入ったのだから。

そうなると、新たな主人公というのは、どうしても最初の主人公に比べて影が薄くなってしまうことがある。

 

となると

 

もしも物語を長く続けていくのなら、最初の主人公で物語を続けていく場合、その主人公の強さを抑えていかないといけなくなるのだろう。

能力的な限界を設定したり、弱点を設定したり。

絶対にピンチに陥らない主人公では、物語の展開のハラハラ感はイマイチであろう。

 

かといって、全く成長しない・・というのも、それはそれで閉塞感がある。

なので、ある程度は成長させながらも、あまりにも強くなりすぎないように加減していかないと、どん詰まりになり、だんだん物語を勧めていくのに困ることになる・・・。

主人公の能力をあまり上げすぎずに、代わりに、主人公が持っていない能力を持っている仲間が増えてゆくというのもいいが、仲間が増え続けると、やはり味方側がやがて強くなりすぎて、敵の設定に困ることになる。

子供の頃、どんな強い敵でも簡単にやっつけてしまえる、究極の強さを持ったヒーロー像にあこがれたこともあるが、実際に主人公がそうなってしまうと、こと物語の中ではつまらなくなってしまうのだ。

まあ、現実世界では、味方がそういう存在であると、それが抑止力にもなってくれそうだ。

だが、フィクションの物語の中では、そうなってしまうと何も事件が起きなくなって、物語が始まらなかったり進まなかったり平坦だったりする。あるいは、あっさり終わってしまってしまいそうでもある。

主人公の能力はさほど変わらないまま、工夫と機転と、仲間の協力によって苦労して敵を倒していくパターンのほうが、より長く物語を続けられるのだろう。

 

 

 古い作品で恐縮だが、例えば昔の鉄人28号などは、最初から最後までほとんど能力は変わらなかった。

鉄腕アトムは当初10万馬力だったのだが、途中で強力な敵が出てきたためにそれを倒すために100万馬力になったが、パワーアップはその一回だけだったと思う。

サイボーグ009は、長く初期能力で戦ったが、人智の及ばぬ(?)敵が出てきて、それに対抗するために新たな能力を身につけようというところで原作者が連載を中断してしまった。

男一匹ガキ大将は、最初はあまり強くなかったが、心で相手を心酔させることで成長してゆき、やがては日本一の大番長になった。だが、しまいには日本国内に倒すべき敵がいなくなり(?)、アメリカ人と戦うはめになり、日米決戦になってしまった。それにも勝つと、今度は国内で身内を切り崩される展開になり、やがては罪人になってしまった。

カムイは、強敵「搦の手風(からみのてぶり)」とは結局決着がつかず、手風がカムイの協力者にならざるを得ない展開になった。また、カムイは最強の相手であり師匠でもある赤目との関係では、それぞれ別々の生き方をしていった。

かつての魔球投手は次々に強力な魔球を編み出してゆき、ライバルと勝ち負けを繰り返し、最後には無敵クラスの魔球を編み出すが、その結果肩に無理がかかり、最終的には肩を壊してグランドを去っていった。

北斗の拳のケンシロウは敵と戦うたびに、倒した敵の哀しみなどを糧にどんどん強くなっていき、終盤はケンシロウに対抗できる敵を設定するのに苦労しているようだった。特に、ラオウを倒した後は。

 

主人公が際限なく強くなっていってしまうと、きりがなくなり、最終的には主人公本人の崩壊につながることで決着をつけなきゃならなくなったりする。

どんなに強い主人公であろうと、勝てない同じ敵を存在し続けさせるのは至難の技であるのだろう。

でも、それができると、主人公の強さに一定の抑えがかかり、その分物語を継続させやすいのだろう。

そうなると、主人公が決して勝てない相手を、どのように作品に登場させていくか・・・というのは、一つのポイントなんだろうな・・・。

主人公を破滅させたり、行方不明にしたくなければ。

 

まあ、行方不明・・というパターンは、その後ブランクがあった後に、続編を作りやすいというメリットはあるけれど。

その場合、続編では主人公の強さは、以前より少し落ちている・・という風にしたほうが物語を展開しやすいのだろう。

その場合、以前のようにまた主人公が際限なく強くなりすぎていくと、また行き詰ってしまいそうだけれど・・。 

 

強くなりすぎた存在ってのは・・・・どん詰まりで孤独な存在になってしまうのかもしれない。

 


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