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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

姿なき招待  by 楳図かずお

2009年04月05日 | 漫画・アニメ、そして特撮

たまに古本屋をブラッと覗いてみる。
探すとはなしに、店内の棚にある本を見る。

すると、思いがけない本に出会うこともある。

今回紹介したいのは、そういう本の中の一冊。

作品名は「姿なき招待」。若い頃の作品を復刻したものだ。

画風は、後の楳図タッチとは大分違う。

謎が謎をよび、その謎に引っ張られて、最後まで読んでしまった。

どっちかというと、サスペンスもの・・って感じの作品。

だが、後の楳図作品に通じる要素も、見受けられる。

キャラクターも、設定も、発想も。

だから、熱心な楳図ファンならば、読んでおいてもいいだろう。


楳図先生と近い世代の大物漫画家は何人かいる。
もう亡くなられてしまった大物漫画家を含めれば、大勢いる。
そういう漫画家が若い頃に描いた作品を読むのは、興味深いものがある。
そういう作品群を読むたびに、いつもそう感じる。

絵柄は晩年(もしくは最近)の画風とは違うし、キャラも違う。
古いタッチに時代を感じたりもする。
後期の円熟味に比べたら、荒さや稚拙さを感じることもある。
テンポものんびりしてたりするし、キャラにものんびりしたものを感じることもある。

でも、瑞々しさは画面に溢れている。
のんびりした中にも、勢いや「漫画を描くことの楽しさ」が伝わってきたりもする。情熱も感じる。

だから、その漫画家が好きなら、こうした「原点となった時代の作品」を読んでおくことは、後年の作風につながる点を見つけることにもなり、ニヤリともさせられ、楽しい。
こういう出発から、後期のあの作風の確立につながっていったのだな・・と思いながら読んでいける。


序盤のアングルなどには初期の手塚作品にも通じる映画的手法が使われ、また、最後に明かされる「謎の正体」などは、後年の楳図作品の恐怖モノへの息吹も感じられて、興味深いものがある。


先生は、この作品の軸ともいうべき「岬一郎」というキャラにはけっこう思い入れがあったようで、後年の作品「14歳」などにも岬一郎は顔を出していたりする。
でも、この「姿なき正体」では、岬一郎は「シリーズの主役」であった。

先生の、そして岬一郎の原点が、この作品にはあるように思う。



絵に古さはあるにしても、この独特のムードは、たまらない。
特に、カラーのページなどが醸し出す雰囲気は、今の漫画では中々お目にかかれない。


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