時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

書店の片隅で、すすり泣く女性

2006年09月22日 | 日々の、あれこれ
以前、新宿の某書店に行った時のこと。
その書店は、かなり大きな書店で、また非常に有名でもある。

その日私がその書店にどんな本を探しに行ったのかは・・よく覚えていない。
なぜなら、書店で見かけた光景に驚き、心の中がその光景でいっぱいになってしまったからだ。


私がその書店の3階(だったと思う)で、本を探してうろうろしていると、店内の片隅に女性が立っていた。窓際だった。
女性は本棚を向いており、こちら側からは後ろ姿しか見えない。

いやなに、女性が1人で書店に来てもちっともおかしくないし、むしろありふれた光景である。
だから私は、初め気にしてなかった。

何かの本を探してるうちに、いつのまにか私は、その女性の近くの位置まで来てしまっていた。

その女性は、なぜかいつまでたっても同じ場所にいた。

私は・・・できればその女性が立っている位置に行って、女性が見ているであろう本棚にある本を調べたくなった。
もしかしたら私が探している本は、女性が立っている位置にある本棚にあるかもしれないからだ。

かといって、「どいて下さい」とも言いづらい。
大人しく、その女性が他の位置に移動するのを待つしかない。



で、なにげに女性の近くまで来ると、妙なことに気付いた。

心無しか、その女性の肩が震えているのだ。

「?」

と思ったが、あまり気にしなかった
もしかしたら、本を立ち読みして笑っているだけなのかもしれないし。


しかし・・・

肩を震わしているのは・・・・笑っているからではないことに、やがて気付いた。

なんか・・ハナをすすっている。



そのうち・・・

くすん・・・   くすん・・・  くすん・・・・

という音が聞こえ始めた。
しかも、その音は段々大きくなってくるではないか。


・・・くすん・・・くすん・・・ぐちゅっ・・・くすん・・・・


こ、これは・・・・!

その女性は・・・泣いているのだ。


そのうち、「くすん・・」は、「うぇ~~ん」という声に変わった。


本屋の片隅で「すすり泣く」女性は、ついに「本泣き」に入った・・・だなんて、洒落にもなりゃしない。


「うぇ~~ん」は、段々辺りに響き始めた。

泣き声は、辺りに居た私以外の客にも聞こえるくらいの大きさになった。


やがて・・その「泣きのレベル」は「うぇ~~ん」を通り越して、「うわ~~~ん」に成長してしまった。

これは大きい・・・。

もう、本屋のそのフロアにいた客のほとんどに聞こえるくらいの泣き方になった。



なんか、このまま居たら、まるで私が彼女を泣かせたみたいに見えそうな気がしたので、「うわ~~~ん」になる前に、私はその場から離れていた。



何があったのだろう、彼女に。


もしや、この本屋に何か思い出でもあったのだろうか。


例えば、以前付き合ってた男と、この本屋のこの場所で知り合い、その後別れてしまい(フラれた?)、過去の思い出を辿って・・浸って(?)、ついついフラフラとこの「思い出の場所」に来てしまったら、感極まって泣いてしまった・・とか??

私の貧困極まりない想像力でイメージできるのは、せいぜいこれくれいだった。


こんな時、人はどんな対応をすればいいのだろう。

例えば・・・
「お嬢さん、どうされました?大丈夫ですか?」と言って、優しく近づく・・とか?

だが、この女性の場合、体調が悪いわけではなさそうだった。
ただ単に様子がおかしい・・としか表現できない感じだった。
人を寄せつけない雰囲気があった。
女性のいる、その一角だけが、異様な空間・・・そんな感じだった。

事実、誰もこの女性に近づいて来ない。
怪訝な顔をして、この女性を遠巻きに見ていた。

私も、1人の世界に入り込んだ感のあるこの女性に近づくことはできなかった。
近寄り難かったのだ。
誰かに声をかけてもらいたがってる様子は、微塵もなかった。


この女性は誰かに介抱してもらいたかったのか、それとも泣いて気分を晴らしたかったのか、それとも・・・・。

この後、この女性がどうしたかは分からないが、妙な気でもおこしていなきゃいいけど。

まったく、東京って奴は、何の変哲もない日常の中で、時として「?」な光景をお目にかけてくる。








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