ゲームソフトの中には、それを遊ぶことで、勉強になる作品もある。
まあ、勉強といっても色々あるが、この作品の場合、文字通り学校の勉強にも役立ちそうな・・という意味での勉強だ。
少なくても「地理」の勉強には大いに役立つと思う。
そのゲームソフトとは、コーエーの「大航海時代」である。私自身、このゲームを遊んだおかげで、世界の地理や、地名とその大体の場所、特産品をある程度覚えたものだった(その後、また記憶がおぼろげになってしまった知識もあるけど)。
もちろん、ゲームの内容上、帆船についてもある程度知ることにもつながった。あくまでも「ある程度」ではあったが。
このゲームは、プレイヤーが帆船の船長となって、世界を航海して冒険するゲームだ。
まずは、安い船で近場の海で交易をかさね、すこしづつ資金をたくわえ、やがて大きな帆船を作り、さらには船団もつくって、世界の海や港をめぐるのだ。
船はまずは、船の型、規模、材料、大砲の種類、船首像、などを自分で選ぶことができ、完成した船には好きな名前もつけられる。
最初は安くて小さい既成の船しか買えないが、交易などで資金をためてゆくうちに、少しづつ船を、新たに造船し、グレードアップしていける。
この際に、帆船にどんな種類があるかとか、この当時の大砲にどんな種類があるのかとか、いくつかのことを覚えてしまうことになる。
完成した船で船団を組み、世界地図作成のために冒険航海をするもよし、あるいは戦闘用の船をつくって海賊退治をするもよし。あるいは、利益のあがる交易ルートを見つけて、大儲けするもよし。
ロンドンの羊毛、オスロの木材、リズボンの岩塩、イスタンブールの絨毯、アテネの美術品、ベネチアのガラス器、マディラの砂糖、トンブクトゥの象牙、長崎の銀、長安の絹織物、・・・そしてアフリカエリアで金を入手できるようになると、もう大金持ちだ(笑)。
冒険航海をして世界中の海を航海していると、各地でレアなアイテムや動物などを発見することにもなり、それをスポンサーに報告すると、莫大な報酬を貰える。
その一方で、長い航海をしていると、途中で水や食料が尽きる可能性もあり、そうなったらゲームオーバーになってしまう危険性もある。
なので、長期の冒険航海をする時には、それに向いてる船を造らねばいけないし、水や食料を大量に積み込めるようにしておかなければいけない・・などの戦略性も必要になってくる。補給のための港を見つけられるかどうかは、冒険航海には命綱である。
また、海賊などにつけねらわれて、海戦をする時は、船の向きもうまくたちまわらねばならない。というのは、大砲の位置が影響するからだ。
そして、航海を続け、名声が高まれば、有名な船乗りも仲間になってくれるようになる。最初は相手にもしてくれなかったりするスゴ腕の船乗りが、やがて仲間になってくれるようになると、自分のレベルが上がっていることを実感する。
とまあ、色んな戦略性や成長度が問われるのだが、それを考えたり、体感するのもまた楽しいものだ。
個人的に一番楽しかったのは、地図作成のために世界の海を航海してる時。
大陸ぞいに航海し、次々に続いて広がって開けてゆく地形を見ながら、まだ見ぬ世界地図を塗り替え、港を見つけていく。
見張りがプレイヤーに「提督!港を見つけやした!」と声をかけてきたら、その港に入港。はてさて、その港は、どんな港か。どんな特産品があって、酒場にはどんな姉ちゃんがいるか。
酒場の姉ちゃんと仲良くなるにつれ、色んな情報を教えてくれるようになる。それが冒険のヒントにもなっていく。
BGMは地域ごとに異なり、港に入港すると、その地域をほうふつとされるBGMが流れる。
そうやってゲームを進めていると、何度も航海に出るうちに、どんな街が世界のどこにあるのかなども自然に覚えていくことになる。
このゲームをやっていると、本当に想像力を刺激され、トリップしたものだ。
しまいには、ゲーム世界の中に自分が入りこんでいる感覚になり、それは夢にも出てきたりするようになる。
北極海を航海している時に、複雑な地形に迷子になりそうになったり、人が住んでなくて港が全然見当たらず、あわやゲームオーバーの危機に陥ったり。そう、北極海を航海している時などは、ほんとヒヤヒヤものだった。
また、まだ見ぬ初めてのエリアに乗り出した時に、その先にどんなことが待っているかという期待感。
大砲の特性を活かして海戦に勝った時の快感。
船を新造した時の充実感。
苦労の末に、サーベルタイガーや、水晶どくろを見つけた時のファンファーレ。
象牙や金などの、母国に帰ったら大儲けできそうな交易品の産地を見つけたり。
あるいは、各港の酒場の姉ちゃんたち。
そういう色んな要素が混ざりあい、夢の中にまででてくると、まるでゲームの中に自分が入りこんでいる気になったものだった。
コーエーのゲームは、最初は覚えることがたくさんあって、「とっつき」という意味では面倒くさい。
だが、そのめんどうくささは、ゲームの奥行きにもつながっており、システムを少しづつ理解していくと、ハマってしまうケースが多い。
最初の面倒くささを乗り越えれば、どんどん面白くなっていく。そんなゲームがコーエーには多い。
なので、他のメーカーのゲームソフトよりも、ターゲットの年代層は、やや高めだった。
正直、攻略本がないと、うまくゲームを進められない部分もある。でも、その攻略本も、なかなか楽しかったりする。
コーエーのゲームは、歴史を題材にした作品が多い。
看板ソフト「信長の野望」「三国志」をはじめ、「水滸伝」「維新の嵐」、そしてこの「大航海時代」など。もちろん、他にもある。
一度やりだすと、時間を忘れ、やめられなくなるくらいハマってしまう。
で、攻略本を読みながらゲームを進めていくと、それぞれのゲームの時代背景や登場人物や地形を覚えてしまうことにつながる・・というわけだ。
信長が日本史の中で今や大ヒーロー的に扱われ、人気も高いのには、コーエーのゲームも大いに影響しているだろう。
三国志もまたしかり。
信長や三国志に比べたら、この「大航海時代」は、実在した有名な船乗りの人気アップにはつながっていないかもしれないが、それは主人公が架空の人物だからかもしれない。
でも、世界の地名やその場所、特産品、帆船の種類などを覚えられる。それもまた楽しいものだ。
主人公は「大航海時代」という作品名からも察することができるように、主にヨーロッパの国の人物。
で、ヨーロッパの主人公が、地中海などで交易を重ね、やがてアフリカ大陸の海に乗りだし、途中中近東や東南アジアを経由し、はるばる日本に辿りついた時は、日本人として妙に嬉しさを覚えてしまう。
と同時に、ヨーロッパから日本までの遠さを感じてしまう。ドラクエみたいに、行きたい場所にルーラで一瞬のうちに移動できるわけではないから。
ともかく、「大航海時代」というゲームは、心がトリップできるという意味では、私が遊んだゲームの中ではトップクラスだった。
この作品は、家庭用据え置き型ゲーム機のソフトとしては、まずファミコン版から始まった。
その後スーファミ版などが出ると、初回作よりも進化していき、主人公を選べるようになったり、ストーリー性が高まったりしていった。
そのたびに面白さもアップしていったが、初めてこのスタイルのゲームに出会った初回作の印象深さは忘れられない。
最近は家庭用据え置き型ゲーム機では私は遊んでいないが、この「大航海時代」の新作が出たら、きっと飛びついてしまいそうな気はする。
このゲームのシステムやトリップ感は、携帯アプリではとうてい再現できないと思う。
広大なマップを、自らの意思で船を動かし、自由に航海して、色んなものを発見したり、体験したりしていくゲームだから。
この広大なマップ・・というのが、このゲームの重要な要素なのだ。広大なマップゆえ、何もないエリアも多い。でも、その「何もないエリア」というのも、スリリング感につながっている。補給という意味で。
やはり、これは大きな画面で遊びたい作品だ。
ファミコンの時代、このゲームをやるまで、こういうスタイルのゲームに出会ったことは私はなかった。
だからこそ、この作品は心に強く残っている。
その面白さやトリップ感と共に。
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