時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

隣町の古本屋ワンダーランド

2021年11月20日 | 懐かしい系、あれこれ

私が漫画の単行本を集めるようになったのは小学生の頃。

集めるようになった理由は、単純に漫画が好きだったからというのはもちろんだが、それ以外にも理由があった。

当時仲がよかった級友のひとりにH君がいた。

そのH君の家に遊びに行くと、何段もの本棚があり、その本棚にはぎっしりと漫画の単行本が並んでいた。

壮観だった。当時の段階ですでに何百冊もあったのではないだろうか。

 

小学生のくせに、よくこんなに集められたな・・と思いながらも、漫画の単行本がギッシリ揃っている光景には、最初私はけっこう衝撃を受けた。

たぶん、H君は小遣いや、お年玉や、誕生日プレゼントなどをほとんど漫画の単行本集めに使っていたのではないだろうか。

 

ともかく、H君の所蔵する単行本の数の多さが、私にはまぶしすぎた。

自分もこれぐらい単行本を集めてみたい・・・と思った。

それが私が漫画単行本を集めるようになった、もうひとつの理由だった。

 

それ以来私も少しづつ・・少ない小遣いをやりくりしては単行本を買うようになったが、なにぶん貧乏な小学生ゆえ、そうは集められなかった。

でも、欲しいし、集めたい。

目指せH君の本棚。

 

普通の週刊誌や月刊誌だと、古くなるとすぐに親に捨てられていた。

それが私は悲しくて仕方なかった。

 

だが・・・ある日初めて漫画の単行本を買ってみたところ、いくら日々が過ぎても単行本は親に捨てられることはなかった。

 

親にとっては古い週刊誌や月刊誌はただのゴミに見えたが、単行本みたいな形の漫画になると、ゴミ扱いはしなかったようだった。

これに気づいたのも私にとっては大きかった。

 

そうか、週刊誌や月刊誌だと、いずれ知らない間に親に捨てられてしまうが、単行本なら捨てられない。ならば今後は単行本を買うようにしようと思った。

 

H君の家の単行本の数の多さを目指したいのだが、いかんせん中々単行本は買えない。

悶々としていた私。

そんな時、何がきっかけだったが忘れたが、古本屋という存在を知った。

それは隣町にある古本屋だった。

私が住む町には古本屋はなかったので、古本をあさるために、テクテク隣の町まで歩いていくようになった。

それまでの私は古本屋という種類のお店があるということは知らなかったので、そういう店では本が安く売られているのを知って、すごく心強かった覚えがある。

 

隣町の古本屋は、駅からけっこう離れていたが、古本屋に続く道を歩くのも楽しかった。

今日はどんな本に出会えるだろう・・・と思うと、ワクワクした。

その古本屋は外観はおせじにもきれいとは言い難かったし、店内は普通の本屋より薄暗く、山と積まれた多数の本の奥に、店主が小さな机の前で座って新聞を読んでいた。

どうやら、その机の後ろ側・・・要するに店の「奥の更に奥」は店主の住居になっているようだった。

畳の部屋が見え、そこにはこたつみたいなものもあったし、テレビもあった。

まるでその店は「秘密の本屋」にも思えたし、ある意味その店主の秘密基地のようにも思えたし、要塞のようにも思えた。どこか秘密っぽい雰囲気とか、隠れ家っぽい雰囲気が、少年だんぞうには魅力的だった。

 

古本屋では色々な本が売られていたので、当然漫画の単行本もあった。

しかも、安い!普通の本屋で売られている単行本よりはるかに安い。

安ければ安いほど汚れていたりしたが、この際汚れよりも、新たな単行本が入手できるという喜びの方が勝った。

 

当時新品の漫画単行本の値段の相場は240円前後だったと思う。

だが、古本屋では50円などは当たり前で、ぼろいのになると10円ぐらいで売られてた単行本もあった。

これなら貧乏小学生でも買えた!

私の単行本コレクションが少しづつ増えていったのは、この古本屋の存在が大きかった。

 

中には・・・私が生まれるはるか前の漫画の単行本もあった。

まだ、古い漫画単行本の価値がない頃で、二束三文で売られていた。

所蔵単行本の数を増やすために、その古い漫画単行本を買おうかどうか迷ったのだが、結局買わずに、別の作品を買った・・と思う。

 

今思えば、買わなかったその古い漫画単行本は、今もし所有してたら案外高く売れたかもしれない。

そう思うと、買っておけばよかった・・・と後悔している。今も。

 

 

 

ともかく、思わぬ作品との出会いがあり、しかもそれが安く買える本屋として、その古本屋は私の大のお気に入りになった。

私は定期的に通うようになった。

その古本屋は大きな通りに面しており、店内は薄暗かった。

所せましと古本が展示されており、本棚の上のほうにある古本や、床の段ボールの中に埋まっている古本などは、手に取るのが難しかった。

というか、客が自由に実際に手にとって見ることが難しい位置にある本のほうが多かったかもしれない。

 

天井まで続く本棚の上段にある本などは、店主にはしごを使ってもらって取ってもらわないといけないし、床の段ボールの下のほうに入っている本を確かめたい場合、段ボールいっぱいに詰め込まれてる本を上から次々と出していけないと、下方の本にたどり着けない。

それは面倒くさかった。

 

なので、とりあえずすぐに手に取れる位置に置かれてある本だけを私は物色していた。

 

店内には難しい学術系の本もあれば、図鑑もあったし、中にはエロ本もあった。

小学生だった私はエロ本に多少(?)興味はあっても、それを態度に出すことはできなかった。

というか、エロ本を物色してる姿を店主や他の客に見られたくなかったから。

 

なので、とりあえず私はピンポイントに漫画単行本だけを物色していた。

 

帰る時にはどんな本を入手してるだろう・・・という楽しみもあった。

 

 

この古本屋は、私にとってちょっとしたワンダーランドだった。

中学生になっても、この古本屋には定期的に行っていた。

 

だが、中学卒業と共に我が家は郊外に引っ越してしまった。

引っ越し先から、その古本屋まで行くとなると片道1時間45分ぐらいはかかってしまう。

往復だとゆうに3時間以上かかることになる。

これでは中々行けない。電車賃もかかるし。

 

ということで、引っ越してからはその古本屋に行くことはなくなった。

 

 

だが・・・高校卒業と共に我が家は再び都心に引っ越して、都心に戻ってきた。

大学生にもなると、大学の近くにめぼしい古本屋が何店もあった。

小学生時代に行ってた古本屋にわざわざ行かなくても、大学の近くの古本屋で事足りるようになった。

てなわけで、小学生時代に通ってた古本屋に行くことはほとんどなくなってしまった。

 

 

その後また年月が流れ、子供時代に通ってた古本屋に何十年ぶりかで行ってみたら・・・もうその古本屋はなかった。

古本屋があった場所にはコンビニができていた。

 

もう、その古本屋の名残は・・皆無であった。

 

この時、「大学時代などは、来ようと思えばいくらでも来れたのだから、もっと来ておけばよかったかな」などと思ったものだった。

その古本屋は、私の小学生時代と中学生時代に漫画単行本収集に大きく貢献してくれた存在だったから。

 

今でもあちこちの出先で古本屋を見つけると、つい入ってしまうことがある。

そんな時・・・私が子供時代に通ってた「隣町の古本屋」を思いだしてしまうことがある。

 

今でも古本屋に入ると少しワクワクしてしまうことがあるのは、子供時代の「隣町の古本屋」を思いだすからだと思う。

それは子供時代に入り浸ってた駄菓子屋に入った時に感じたワクワク感に似ている気もしている。

 

そういう意味では、あの「隣町の古本屋」は私の心の中でまだ存在しているのかもしれない。

 

古本屋を見つけて入ると、少しワクワクしませんか?

帰る時に、どんな本を入手してるかわからない・・・そんな楽しみがありますものね。

中には思いがけない本だってある場合も。

 

貴方にとって古本屋は、どんな存在でしたか。

なにか古本屋に関する思い出はありますか。

また、思い入れのある古本屋は、ありましたか?

 

 

なお、この文中で綴られている古本屋と、写真の本屋は無関係です。

あくまでもイメージです。

 


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4 コメント

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Unknown (キャプテンゼロ)
2021-11-20 20:53:59
ボクが小学生時代の商店街にも、おじいさんが経営する
小さな古本屋さんが、ありました。
だんぞうさんの友人のHくん、小学生で数100冊の
マンガの単行本のコレクションはスゴイですね。
あの当時だと、サンデーコミックスや、曙出版、サンコミックス、
虫コミックス等のマンガの単行本が思い浮かびます。

ボクの街の古本屋さんでは、小説のハードカバーや
文庫本が主で、オトナ向きの雑誌は半値で
販売していましたが、マンガの単行本は扱ってなかったです。
ボクは、ギャグマンガのファンでしたので、
赤塚氏、藤子氏、石森氏、つのだ氏のギャグマンガの
単行本を普通の書店で買っていました。
家に溜まった、マンガの週刊誌や単行本を見て、
さすがに親は、困った顔をするので最終的には
自分で処分していました。

現代では、ブックオフに行けば大量のマンガが
安売りされていますし、ネットの無料マンガも読み放題です。
でも、昔のちょっとカビくさい古本屋さんで
気に入った本を探すのも、楽しかったなぁ(笑)
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-11-21 11:43:09
H君の家の本棚には、漫画の単行本は300冊以上はあったと思います。私が小学生だった頃の段階で、すでにそれくらいあったのです。
また、アニメのソノシートなどもふんだんにありました。
もう、うらやましくて仕方なかったです。

サンデーコミックスは当時の単行本では、ラインナップは1番充実してましたよね。
虫コミックスは、後にプレミア価値がつくようになりました。
今でも我が家には残ってます。
いずれ、専門店に高価買い取りしてもらいたいなあと思ってます(笑)。

古本屋を利用する時、その古本屋に漫画の単行本が充実してるかどうかは、私にとって大事なポイントでした。
漫画の単行本が充実してない古本屋には、私はあまり興味がなかったです。

そうですね、今はブックオフという強い存在がありますね。
小学生の頃に町にブックオフがあったら、私は相当利用してたでしょうね。
ブックオフには漫画の単行本も充実してますから。

そういう意味では今の子供達は恵まれてるなあと思います。
返信する
Unknown (中森勇斗(なかもり・ゆうと))
2021-11-22 15:25:57
だんぞうさんの友人のHさんの漫画単行本の蔵書は、すごいですね。
今でもHさんは、その本を持っていらっしゃるんでしょうか?

でも、昔の漫画単行本でも、今は入手困難になってるのもあり、
そういうのは、『宝物』らしいですね。
古本屋さんで、そういうのを見つけたら、『掘り出し物』でしょうね。
       
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-11-22 16:17:18
H君とは、小学校を卒業して中学に入ってからはだんだん疎遠になっていき、中学卒業後は1度も会えてません。今は連絡先もわからないのです。
なので今も彼の単行本が残ってるかどうかは、わかりません…。

私が小学生時代に買った単行本の中には今では貴重品扱いされてる本もあります。
例えば虫プロから出てた虫コミックスなどは、けっこう高値で取り引きされてるようです。

なので、古本屋で見かけたら貴重だと思います。
返信する

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