
アルバム制作にあたり、どこから話を進めるか、あれこれ考えた。
当初は、録音スタジオを兼ねる「お店」に打診することも考えた。録音はそこでやらせてもらうつもりで。
もしくは、知り合いで「打ち込み」をやってる人がいて、実際にアルバム制作などもやってきているプロのミュージシャンに「オケ」を頼むことも考えた。
その方と実際に相談したこともあった。
その他にも方法はあった。
だが、なにぶん「初めて」のソロ名義での録音。
まずは、友人を頼ろうと思った。昔のバンド仲間であり、同級生でもあり、幼馴染でもあり、そして現在音楽関係の仕事をしている友人を。
自分の音楽趣向や性格、いいところや悪いところもよく知ってる友人。
そう、自主制作アルバム「空を見ていた。」制作は、私が友人に電話をかけたところから始まった。
で、彼の事務所に、打ち合わせのために何度も通うことになる。
数回目の打ち合わせの時に、選曲の相談になった。
私は、今回のアルバムの収録曲として、予定より多めの選曲リストを考えてあった。
その中から、選んだり外したり。
当初考えたリストの中には「あの店エレジー」「月のうさぎ」「ふりはらえ!」などの自作曲もあった。
「月のうさぎ」も「あの店エレジー」も、あのアルバム収録予定曲の中では、同じようなタイプの曲が無いので、入れても問題はなかったかもしれないが、入れてしまうと、アルバムの総尺が長くなりすぎる。
「あの店エレジー」は最後まで候補に残ったが、違うコンセプトでまたアルバム(もしくは、それに近い形)を作る時があるかもしれないので、その時のために、収録予定曲として「とっておく」ことを決断。
「月のうさぎ」は、「母校が消えた日」が収録されるのに、「月のうさぎ」まで入れてしまったら、あまりにも中身が重たくなりすぎる気がした。なので、これまた次の機会のために「とっておく」曲に決定。
「ふりはらえ!」は今現在、レコーディングして形にするならバンド形式のアレンジしか思い浮かばないので、「空をみていた。」はアコースティックアルバムであることを考えて、今回は外した。この曲は、アコースティックバージョンで残すイメージができたら、また考えたい。
ブックレットの曲解説にも書いたが、「ゆれはば」という曲は当初は収録曲リストに入っていなかった。というか、存在すら忘れていた時期は実に長い。ずっと自分の中で発表の機会もないまま、埋もれていた。
友人の事務所に選曲打ち合わせに行った時、友人に収録曲リストを見せ。こんなラインナップでいきたい・・という趣旨のことを伝え。
ライブ音源なども聴かせ。
打ち合わせが続くうちに、友人に「他にどんな曲があるの?」と聞かれたので、そばにあったギターを手にとり、予定になかったいくつかの曲の断片を、思いつくまま、思い出せるままに歌い。
そのうち、ふと思い出し、何気なく「ゆれはば」のイントロを弾いて歌ってみたら、その友人から「それも入れるべきだ」との進言が。
それを聴いた時、私は「やはり、この曲に反応したか」と思った(笑)。
というのは、私は彼との付き合いは長いので、彼の音楽的趣味や、彼がこれまで聴いてきた音楽を私は知っている。
彼なら、「ゆれはば」のような曲は好きだろう・・・と私は思っていた。
この「ゆれはば」を、彼の前でふと歌ってみせたのは、そんな背景があったからだと思う。無意識のうちに。
なにせ、かつてのバンド仲間。十代の頃、夜通し音楽談義もしたことがある仲。
だが、この「ゆれはば」という曲は個人的には、まだ改良したいとも思っていた曲だった。長い間放置してた曲だったのだが、それは・・もうひとひねりを加えたいと思っていた曲だったから。
その時はまだ、曲の真ん中の展開部・・・2番と3番の間にある、転調部分を含むパート・・は、まだ無かった。
アルバムに収録されるかもしれない・・・という、この曲にとっては「思ってもみなかった」ほどの「日の目を見る」機会が目の前に現れた。
この曲は、75%くらいの完成度のまま、私の中で長年放置されてた曲だったし、発表の機会がないと思うと、仕上げるモチベーションも上がらないままできた。
だが、アルバム収録の可能性というビッグチャンスの前に、私のこの曲に対するモチベーションは、一気に上がった。
で、真ん中の展開部、そして2本のギターによるバッキングアンサンブルを考え、アレンジイメージを広げて、一気に仕上げて、急きょ録音した・・というわけである。
もしもこの曲が収録されなかったら、「あの店エレジー」か「月のうさぎ」、もしくは別の曲が収録されただろう。
また、この録音は、もしかしたらアルバムとは違う形で完成した可能性もあった。
それは、「空の少年」1曲に絞って、スタジオミュージシャンを何人もやとったり、高価な録音スタジオをとったり、ギャラの高い編曲家にたのんで「打ち込み」のオケを作ってもらう・・という選択肢も提示された。
そうなったら、「空の少年」だけのシングルになった可能性もある。1曲に絞るわけだから、それが仕上がったらサウンドはかなり贅沢な仕上がりになっただろう。
だが・・私はやはり「アルバム」にしたかった。
どの選択肢が、結果的に一番だったのかは、分からない。実現してみないことには、それぞれの出来は分からない。
ただ、作者として、ある一定のイメージだけは、「空を見ていた。」には貫くことができた気はしている。
写真は、数曲で活躍したタンバリン。
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