カントリー by キース・ジャレット
世の中には、その曲を聴いてると泣けてしかたない・・・そんな曲がある。そんな演奏がある。
今回触れたいのは、私にとって、そういう曲の中の1曲。
「カントリー」という曲。キース・ジャレットの名曲・名演だ。
なんでも、キース・ジャレットの熱烈ファンからは、賛否両論ある曲のようだが、個人的にはそれはどうでもいい。
私自身がその曲が好きだから。ここでネタにする理由としてはそれで十分。
この曲。
洗練されてて、おしゃれでもあって。親しみやすさもあって。
簡単そうでいて、実はとても難しい、その演奏。なにより、この味を出すのは至難の技だろう。
音だけをコピーしてそれでいい・・という感じの曲ではない。
この雰囲気、弾き方を再現するのは難しいだろう。
演奏する人のハート、感情、はては人間性までもがかかわってくるのではないか。
繊細で熟練した技術がともなって、この表現力につながるのだろう。
聴いてると、郷愁があり、そのメロディも演奏も音色も、切ない。
落ち込んでいる時。
傷ついた時。
寂しい時。
悲しいことがあった時。
やさしくなりたい時。
自己嫌悪に陥ってる時。
置いてけぼりを食ってしまった時。
悩んでる時。
疲れている時。
昔のことを思い出してセンチな気分な時。
何度、この曲に慰められたことだろう。特に、この曲を知ったばかりの頃。
キース・ジャレットに関しては、私はあまり詳しくない。
だから、何か突っ込まれても、正直困ったりするのだ(笑)。
とりあえず、超有名な音楽家だし、名前は昔から知ってはいた。
その評価・名声もよく聞いていた。
演奏家として、世界トップレベルの人であることは知っていた。
だが、彼の色んなアルバムを聴いていた・・というわけではない。
「ケルンコンサート」なんかは有名だよね。
でも、この曲が心の底から好きだ・・という気持ちに嘘は無い。
音源を聴いただけでジーンとくるのだから、これを生で聴いたら涙ナミダかもしれない。
私が知ってるのはサックスが入ったバージョンだが、この曲ならキースのピアノソロでも感動するだろう。
どこかの宿などで、サロンなどにピアノが一台置いてあって、そのピアノで1音1音を愛でるように、この曲を優しく弾いてくれる人でもいたら、それだけでその旅は忘れられない旅になるだろう。
そう、この曲は、「どうだ、弾けるんだぞ」みたいに、あまり押し付けがましく弾いてほしくない気がする。
時には消え入りそうに、時には強めに・・・そんなメリハリの利いた演奏で聴いてみたい。
自分が「もしもピアノが弾けたなら」、この曲を弾いてみたい。
そんな気にさせられる、ノスタルジックで、切ない曲だ。
ジャズには名曲はないが名演はある・・・という説を耳にしたことがあるが、なんのなんの。
キース・ジャレットのこの曲は名演でありながら、名曲でもある。
それも、とびきりの、珠玉の名曲だと思う。
ちょっと切なさや寂しさを感じる夜。
ふと、時の流れを感じてしまった時。
そんな時に、静かにこの曲に浸ってみると・・染みる。
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