ジョニーさんが、キャロル時代のことについて赤裸々に語った1冊。
第2章・・ってぐらいだから、「第1章」という本もあるみたいなのだが、そちらのほうは未読。
キャロル。
伝説のバンド。
ジョニー大倉さんは、永ちゃんと2枚看板でキャロルのフロントだった。
拓郎などを筆頭に、フォーク勢が快進撃を続け、日本のヒットチャートにフォークというジャンルが根付き始めたころ、キャロルはロックというジャンルで上ってきた。
ロックをやってるミュージシャンは当時もけっこういたが、ヒットチャート・幅広い世代への浸透ぶりという意味では、ロックはまだ「これという突き抜けたスター」がいなかった。
そんなところにキャロルの登場だ。
周りのスタッフはまだ、キャロルというロックンロールバンドをどう売り込んでいけばいいのか、どんな戦略をたてていけばいいのか手探りだったらしい。
でも、キャロルというバンドは、戦略よりも、その音楽性・スタイル・キャラでどんどん人気を加速させていった。
やがて、当時の日本のロック界の頂点に立った。
本人たちや周りのスタッフの意識以上に、バンドはどんどん大きくなっていったようだ。
そんな中で、ジョニーさんはもがいた。
永ちゃんとの連帯、衝突、を体験しながら。
やがてジョニーさんは、自らのアイデンティティや、自らをとりまく環境の急速な変化、ギャップ、舞い上がり・・などで段々自らを追い込んでいくことに。
そして、自らの引き起こした事件のために一時バンドを離れるものの、やがて復帰。
だが、復帰したキャロルでは、彼のバンド内での立ち位置は大きく変わってしまっていた。
それもまた自らのまいた種が原因のひとつだったから、何も言えなかった。
当初、永ちゃんとジョニーさんの二人で引っ張っていたはずのバンドは、もうそこにはなかった。
で、やがて・・・キャロルは解散。
そのへんの苦悩やいきさつは赤裸々で、バンドを経験したことのある私にとっても身につまされるくだりがあった。
また、「私が同じバンドメンバーだったとして、こういうことをやられたら、メンバーの一員としては・・これは困ってしまうだろうなあ」と思わされるくだりもあった。
結局、一気に読み干してしまった。
この本は、ジョニーさんの人生の赤裸々な告白であり、キャロルへの誇りと愛情であり、そして・・苦楽を共にした永ちゃんへのメッセージである。
キャロルが好きだった人にとって、読んでて辛い箇所もあり、「破滅的」な生き方を感じさせる部分には危惧を覚えたりもするが、根底にあるキャロルへの愛情は「救い」だ。
どんなバンドであれ、バンド内には色々な人間関係がある。
構成員が少なければ少ないほど、特定の人物同士に、何人分もの関係パターンが現れる。
バンドメンバーは、バンドをやってる時は身内である。
だから、その関係は複雑で、いい間柄の時もあれば、不幸な間柄の時もある。
でも、それらをすべてひっくるめて、一緒にやっていく。
だからこそ・・・特に大成功したバンドであればあるほど、何らかの絆はあるはず。
仮に最後は心がバラバラだったとしても、スタート時は共に同じ夢を見た仲間だったのだから。
多感な時期を、自らの意思で参加したバンドで過ごし、大成功したのならなおさら、そのバンドに対する思い入れはあるはず。
この本を永ちゃんが読むかどうかは分からない。
きっと・・・少なくても密かには読むんじゃないかな。
読んだことを声高には表明しないだろうけれど。
ジョニーさんが永ちゃんに呼びかけたことへの返答を、永ちゃんはしないかもしれない。
キャロル解散後、永ちゃんはあえてキャロル色を避けてた部分はある。
「俺はキャロルの功績に頼らなくても、やっていけるんだ」という意地やプライド、決意の表れだったのかもしれない。
だけど、永ちゃんの中にキャロルへの思い入れがないとはとても思えない。
むしろ、人一倍あるような気がする。ジョニーさん同様に。
ただ、その表現の仕方がジョニーさんとは違うだけで。
答えずに、あえて黙っている・・というのも、キャロルに対する愛情ゆえに・・。
そう思えてならない。
愛し方、大事にする方法、それには、それこそ人の数だけ色々な方法がある。
この本、「キャロル 夜明け前 第2章」。
70年代に、日本の音楽チャートに、ロックというジャンルを切り開いたバンド、キャロルの内側が、この中に赤裸々に記録されている。
バンドというのは、人間関係や社会の、一つの縮図でもある。
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