先日、3年ぶりに北海道に行った。
どうも夏になると私は北海道に行きたくなる。でも、まだ私が泊ったことがない県にも泊っておきたい・・というこだわりもあったので、去年の夏は福井の方に行き、一昨年は能登半島の先端まで行った(厳密には能登半島は過去に2回行ったことがあったのだが、どうしても能登半島の奥の先端に行っておきたいという気持ちがあったので)。
北海道は広い。なので、私は北海道に行く時は、ある程度エリアを絞っていくことにしている。
今年2017年の夏の北海道行きで選んだ場所は、北海道でまだ私が行ったことがなかったエリア、襟裳岬と、北海道でまだ私が降り立ったことのない空港がある帯広だった。
特に襟裳は長年気になってた場所であり、課題でもあった。
北海道の地形を、例えば省略して絵に描く時には、襟裳岬の地形はたいがい活かされる。
それぐらい北海道の地形上、特徴のある場所だ。
釧路方面から函館方面までの間に、剣先のように太平洋に突き出た地形の場所。
それが襟裳岬。
襟裳岬が全国区になったのは、やはり森進一さんの歌った「襟裳岬」という歌が大きかったことだろう。
楽曲「襟裳岬」は、森さんにとっては「おふくろさん」と並ぶ代表曲であるのは、皆さんもご存知の通り。
で、その「襟裳岬」という歌を作詞したのが岡本おさみさんであり、作曲したのは吉田拓郎さんである・・ということも、皆さんもご存知の通り。
私が音楽に大きくのめりこむきっかけになったのが、洋楽ではビートルズとボブ・ディランであったが、邦楽ではやはり吉田拓郎さんをはじめとするフォーク勢の存在が大きかった。
もしビートルズやディランが居なかったら、私は邦楽一辺倒だったかもしれないし、もし拓郎さんをはじめとするフォーク勢がいなかったら、私は洋楽一辺倒になっていただろう。
洋楽も邦楽も同時進行で両方好きでいられたのは、ビートルズ、ディラン、拓郎をはじめとするフォーク勢が私の中で並立してくれていたからだった。
私は、拓郎さんの曲には好きな曲は多かったが、中でも作詞の岡本おさみさんと、作曲の拓郎さんがタッグを組んで作っていた「旅歌」路線は特に大好きだったし、多大な影響も受けた。
岡本さんと拓郎さんがコンビで作った旅歌としては、「洛陽」「竜飛崎」「都万の秋」「旅の宿」、そして「襟裳岬」などがあり、どれも名曲であった。
それらの歌に影響を受けた私は、後年実際に青森の竜飛岬に旅したりした。
なので、襟裳岬も、いつかぜひ・・一度行っておきたいと思っていた場所であった。
で、今回重い腰をあげて、「よし!襟裳に行くぞ」と決め、実際に襟裳へのアクセスを調べはじめてみたら・・・襟裳へのアクセスは実に大変であることを実感。
手っとり早いのはレンタカーで行くことだし、実際襟裳に行く人は大概の人がレンタカーやバイク、もしくはせいぜいバスツアーなどの移動手段を使うであろう。
だが私は、タクシーやバスを乗り継いでいくことになった。
昔、礼文島や屋久島に行った時は、私は現地でレンタカーを運転して移動したが、それ以来私は車は運転しておらず、近年はもっぱらペーパードライバー状態だった。
長年運転していないと、どうも運転に不安があった。
まあ、昔は会社にマイカー通勤していた時期が私は長かったので、ちょっと運転すれば運転のカンは取り戻せるとは思うが、ペーパードライバーのまま現地で運転するのにはためらいがあった。
なので、襟裳にはタクシーかバスで移動するしかなかったのだ。
私は当初帯広あたりから襟裳方面にはある程度のエリアまで電車があり、そこからちょっとバスかタクシーで移動すれば襟裳には着けるだろうと、たかをくくっていた。
だが、実際には、襟裳方面に行く電車はなかった。
となると、バスということになるのだが、帯広から襟裳に路線バスで行くには、一日2~3便しかないうえに、しかも途中の広尾のバス停でバスを乗り換えなきゃいけない。
もしもバスが行ってしまった直後に乗り換え駅に着くと、数時間も待つことになる。
そうなると時間的なロスは、かなりのものになるし、何よりその日、現地である襟裳で過ごす時間が削られることにもなる。
襟裳は歌で有名になったし、北海道でも特徴的な地形の場所だし、もっとバスの本数はあると思っていたのだが・・甘かった。
ここで私は途方にくれた。
今回の旅行のメインの行き先は、やはり襟裳。
その襟裳に行けないんじゃ、意味がない。
さらに、もし行くなら、限られた旅行日程の中、少しでも襟裳の現地で時間を確保したい。
そこで・・・断腸の思いで・・最後の手段として・・帯広空港から直接襟裳に行くために観光タクシーを使うことにした。少なくても「行き」は。
乗り換えなどの時間的なロスを排除し、へたしたら行く手立てがなくなるリスクを避けるためには・・それしかなかった。
値段は片道46000円ぐらいかかった。決断が必要だった。
帯広空港から襟裳までは、タクシーのメーター的には実際には27000円ぐらいだったのだが、タクシーとしては、襟裳から帯広に帰ってくる時は、客は見込めない。
襟裳まで私を乗せて行ったら、帰りはそのタクシーは客無しで帯広まで戻ることになる。
なので、往復料金よりは多少安い値段で・・・ということになった。
これだけもかなりの出費だったが、この際仕方なかった。
そのかわり、空港から襟裳までは時間的なロスはなくなり、襟裳の現地で少しでも時間を多くとれることになる。
今回の私の旅行のメインの地は、襟裳岬。なので、その値段を受け入れ、帯広空港に迎えにきたタクシーに私は乗り込んだ。
いざ、襟裳岬へ。
気になる天候のほうだが、帯広空港に着いた時は、曇りだった。
季節が夏であることを考えると、現地で歩きまわることを考えたら、曇りくらいのほうがちょうどいいだろうとも思い、自分を納得させた。
そりゃ、写真写りなどを考えたら、晴れのほうがいいに決まっている。
でも、こればかりは仕方ない。天候は自力でなんとかなるものではないし。
タクシーは走りだした。あたり一面、広い大地が続いていた。
広い大地を、さらに広い空が覆っている感じ。いかにも北海道という感じで、気分がいい。
少し走った後、タクシーは、あの有名な「幸福駅」に立ち寄ってくれた。
↑ 幸福駅。今では電車は走っておらず、駅と線路の名残と、現役引退した電車が保存されていた。
↑ 御覧の通り、来訪者からの多数のメッセージが残されていた。
↑ この「駅風の看板」の近くにあった土産物屋には、この日の日付入りの切符も売られていた。
↑ 鐘を鳴らすと、だだっぴろい周囲に、かなり響いた。 ♪この鐘を鳴らすのは~あなた~?
ここは昔は鉄道が走っていた場所で、「幸福」という駅名に惹かれ、多くの観光客がやってきていた。
レールが少し残されており、電車も保存されており、観光客は自由にその「展示物と化した電車」に乗り込むことも可能だった。
↑ 駅の説明看板あり。保存されている電車は、案外きれいだった。手入れされているのだろう。
↑ わずかばかりの線路の上に、保存されていた電車。踏み切りには、もう警報音が鳴ることはない・・。
↑ 電車の中には、こうして入ることも可能だった。電車はもう動かない。なんか、食堂車みたいな雰囲気。
↑ 来訪者、多し。外国人も多数。この駅に来た時点では、天気はまだ「くもり」だったのだが・・。
幸福駅を走っていた電車は、広尾駅までは昔は続いていたはず。
だが、赤字路線だったのか、今ではその鉄道は廃止され、駅の名残だけが残されていた。
せめて・・・その鉄道が今も健在であれば、電車で帯広から広尾駅までは行けただろうに。
そうすれば、襟裳へは広尾からのタクシーに乗るだけでいけだだろうし。
そうなれば、タクシー代ももっと節約できただろうに。
そういう思いは強かったが、いかんせん現実世界では、その路線の鉄道は今は廃止されているのだから、どうしようもなかった。
↑ 除雪車も保存されていた。北海道では除雪車は欠かせなかったことだろう。
↑ 除雪車よ、現役時代は、お疲れ様でした。 きっと頑張ったのだろうね。
↑ 幸福駅の周辺は、こんな感じ。ただただ、だだっ広い。電車には、正直、まだ走っててもらいたかった。
タクシーは途中「大樹」という町の道の駅に泊り、少し休憩。
「コスモール大樹」という名の「道の駅」だそうな。
↑ 道の駅、「コスモール大樹」の建物。帯広から襟裳へのルートでは、最後の「道の駅」だという。
そこで缶コーヒーなどを飲み、ひとやすみしたあと再びタクシーに乗車。
で、再び走りだした。
あたりは大樹の町。
ロケットの町、宇宙の町、などと書かれた看板が目に付いた。
最初なぜここが「宇宙の町」なのか分からなかった。運転手いわく、この町から民間の宇宙ロケットが打ち上げられるようになるから・・とのこと。
ホリエモンさんなどが計画しているらしいです・・と補足の説明。
ちょっと時間は飛ぶが、旅行から帰った数日後、実際に大樹の町から民間宇宙ロケットがうちあげられたのをニュースで知った時は、妙に私は嬉しくなった。
そのロケットは残念ながら宇宙には到達できなかったが、今後も計画は続くのだろう。
だとしたら、いずれは大樹の町は、宇宙ロケットの町として広く認知されるようになってくのだろう。
町おこしにもなるはず。
そのへんは、ぜひぜひ、応援したい。頑張ってほしい。
あんな広い大地から、民間の宇宙ロケットが宇宙に飛び立っていくなんて、実に楽しい話ではないか。
さて。タクシーは順調に襟裳方面に向かう。なんか、天候の方があやしくなってきた。
雨が降り始めた。
車の窓に雨つぶがあたり始めた。
でも大樹の町あたりでは、まだ小降りであった。
できれば、せめて小降りのまま襟裳に到着してほしい・・・私は願った。
つづく。(←淡々とした感じで)
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