平成の世に復刻された、少年漫画月刊誌「少年画報」昭和35年度正月号の紹介シリーズ、その9。
付録紹介としては、その7。
今回取り上げるのは、「かみなり童子」である。
私にとっては、この少年画報復刻版を読むまで、知らなかった作品だ。
少し検索したのだが、この作品に関する詳しい資料は少なそうだ。
私がざっと読んだ限りでは、主人公は「雷太郎」という少年で、設定は「少年目明し」ということだ。
目明し・・という仕事からも分かるように、時代劇である。
昭和30年代当時は、様々な漫画で「少年探偵」という設定があったが、「少年目明し」というのは、少年探偵の時代劇版だったのだろう。そのへん、時代を感じさせる。
この雷太郎がどんな能力を持っているのかは、この復刻号だけでは分かりづらいが、「千里眼」という超能力らしきものを持っているようだ。予知能力みたいなものなのだろう。
それと、武器(?)の「鉄の棒」を雷太郎は大きくさせることもできたようだ。子分の「うどの山」が同じことをやろうとしてもできなくて、「やはり親分(雷太郎)でないと、むりか」とつぶやくシーンがあるからだ。
また、この少年の額の真中には、大きなほくろらしきものがあるが、このほくろは、少年の不思議な能力にも関わっていそうだ。なにせ、やたら存在感を持って描かれているほくろだからだ。
そして、雷太郎は、「台風組」という幕府転覆を狙う悪党団と戦っているようだ。
雷太郎には「うどの山」という子分がいるが、少年の子分の割にはおっさんである。
また、作品中、雷太郎は「眠る」ということがとても大事な要素になっているようだ。もしかして、十分な睡眠をとらないと、十分に能力は発揮できないのだろうか。
まあ、睡眠不足が仕事に大きく影響するというのは今も昔も、古今東西、リアル世界でも同じではある(笑)。
ともあれ、この少年画報の復刻版1冊を読んだだけでは、かみなり童子に関する詳しい設定や結末などは分からない。
不思議な能力を持っていそうではあるが、この少年の正体も、この別冊付録だけでは不明だ。
ただ、この作品は、テレビでも放送されていたようだし、メンコなども出ていた。ということは、当時けっこう人気のあった作品ではあるのだろう。
キャラクター的には、少年キャラの割には、等身がある。それゆえ、少年とは言っても、多少大人びた雰囲気もある。
全体的な絵柄としては、今となってはさすがにレトロか。いかにも、昭和30年代の少年漫画という感じだ。
当時の作品らしい、大らかでのどかな部分はありながらも、波乱万丈で、テンポはある。
冒険活劇アクション時代劇・・・そんな感じの作品ではある。
原作の川内康範さんといえば、あの「月光仮面」の原作者であり、他にも「レインボーマン」などの有力作品の原作者としても知られている。
また、作詞家としても、森進一さんの「おふくろさん」の作詞家としても、あまりに有名。
そして作画の矢野ひろしさんとは、なんと!あの一時代を築いた挿絵画家・南村喬之の別名であったらしい。これはビックリ。つまり矢野ひろしさんとは、あの南村喬之さんのことだったのだ。
だが、この「かみなり童子」の絵柄は、挿絵画家としての南村さんの画風とはだいぶ違う。
とはいえ、緻密で丁寧な画風の片鱗は、この「かみなり童子」の絵にも窺い知れる個所はある。
南村さんにとっては、その後「漫画」という仕事でこなす「漫画絵」は自身には合わないと判断されたようで、その後、漫画はやめ、本格的な挿絵画家に転向されたようだ。
挿絵画家としては、その後少年誌のグラビアやソノシートの絵本などで大活躍されることになった。特に怪獣イラストは強烈な印象を、読者に与えてくれた。
南村さんのグラビア画などがお好きだったマニアにとっては、南村さんの漫画家時代の「かみなり童子」は貴重な作品であり、良い意味で珍品でもあり、興味深い作品ということになるのではあるまいか。
考えてみれば、「月光仮面」の原作者であり、「おふくろさん」の作詞家でもあった川内康範さんと、一時代を築いた挿絵画家・南村高氏之さんのコラボが、この「かみなり童子」だったということになる。
今思えば、なんと豪華で贅沢な作品であったことか。大物の夢の共演という感じの作品ではないか。
なお、この別冊付録「かみなり童子」の裏表紙には、スーパーマンの絵が描かれている。
もちろん、アメリカの生んだスーパーヒーロー「スーパーマン」である。少年画報本誌にコミック版「スーパーマン」が掲載されていたが、この別冊付録の裏表紙は「スーパーマン」の単行本(?)のPRになっている。
このコミック版「スーパーマン」は、アメリカのナショナルコミックス社発行のオリジナルコミックの「日本語版」である。なので、本場の本物のオリジナル「スーパーマン」コミックである。
スーパーマンは今でも世界で知られているし、人気も根強いので、このオリジナルコミック版を読んでみたいというファンは、けっこういるんじゃないだろうか。
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