初めて私がスキーに行ったのは、大学1年の時だった。
場所は赤倉。
初めてスキーを装着した時は、苦労したっけなあ。
ボーゲンを覚えるまでは、転んで止まるしかなかったからね。
で、やっとボーゲンを覚えてみると、がぜんスキーが楽しくなった。
確か2日目だったか3日めだったかには、初級ゲレンデを離れ、リフトに乗って初級よりも1レベル高いゲレンデに行ってみた。
そこでリフトを降りてみると、とてもじゃないがボーゲンじゃ降りられそうもないゲレンデがいきなり現れた。
ゲッ・・こりゃ無理だ・・・と一瞬固まった私。
だが、その時一緒にいた友が、「あっちに迂回コースがあるよ」と教えてくれた。
迂回コースは楽しかった。
なだらかだったし、コースは峠道をゆるやかに進むルートだった。
あまりスピードが出ないうえに、コースが長い。
しかも、景色は変化に富んでいた・・ように思えた。
天候の方は、最初は「単なる曇り」でしかなかったのだが、なにせ山の上の方。
小雪がパラついてきた。
やがて迂回コースは、リフトの下を通った。
私らが通りかかった時、一緒にそのツアーに参加した先輩が、リフトから私らに声をかけてきた。
そう、ちょうど私らがそのリフトの下に差し掛かった時に、偶然先輩がリフトに乗ってて、私らをリフトから見下ろしながら上昇していくところだった。
こんな偶然が妙に楽しくて、一緒に滑ってた友達と、なだらかなコースを探してはどんどん滑っていった。
自分らがいる場所の位置関係は、遠くの景色をみれば把握できていた。
気づけば小雪のぱらつきは、だんだん本格的な雪になってきていた。
山の天候の変わりやすさはリクツでは分かっていたので、あまり奥のコースまでは行かないようにはしていた。
だが・・
雪が本格的になってくると、あたりの視界がきかなくなっていた。
少し心細くなってきた。
そろそろ宿に帰るか、一番下の初級ゲレンデに戻ったほうがよさそうだ・・・・そう思い、友達と初級ゲレンデ方面を目指そうとしたのだが・・
雪が本格的になるにつれ、だんだん吹雪いてきた。
やばい。
気づけば急ピッチで視界が悪くなり、みるみるうちに数メートル先しか見えなくなっていた。
ますます、やばかった。
今自分らがどの辺にいて、どっちの方角に向いてるのかが、分からなくなった。
もしかして・・・遭難するんじゃないか・・・・と思った。
初めてのスキーで、いきなり遭難・・では・・・。
それでも、少し滑って移動したら、見覚えのある建物が見つかり、自分らの位置や向きが分かった。
ほっとした。
これは、完全な上級者向けの山頂方面にいたわけではなく、平坦なコースにいたからまだ救われたのだ。
もしも、山頂付近の位置にいて、初級ゲレンデまで遠い位置にいて、ああやって一気に視界がきかなくなったら、どうなっていただろう。
後で確認してみたら、遭難するのではと思った場所から初級ゲレンデまでは、晴れていればすぐの距離でしかなかった。
山で視界がきかなくなることの恐ろしさを、つくづく思い知らされた。
ふもとに近い位置にいても、遭難する可能性はあるのだ。
ニュースなどで、山での遭難の話を耳にすると、十分な地理的知識や気象知識、装備、心構えがなされていないで山に入ることの危なさをつくづく感じる。
せっかく来たのだから・・・と思って、無謀にもなったり。
「自分だけは大丈夫」・・・そんな意識があるのかもしれないが、それは何の根拠もない自信なのだ。
気軽に山に入り、遭難した人のニュースを聞くと、、自分が初めてのスキーで初級ゲレンデに比較的近い場所であったにもかかわらず遭難しかけた一件を・・思いだす。
安全策でのスケジュール、移動が、なによりだ。
じゃないと、大勢の人に迷惑をかけることになるし、第一下手すれば命にかかわるのだ。
せっかく来たのだから・・・というが、命があればまた来ることもできるのだ。
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