マガジン・マガジン社発行、著者「イエス小池」さんの、この本。
コンビニでふと見つけパラパラと本をめくってみたら、どうにも気になる内容。
そんじょそこらの本と一味違うものを感じた。
で、衝動的に購入してしまった。
これは、漫画家の成功物語でもなければ、昔漫画家志望だった人の回想記でもない。
現役の漫画家アシスタントさんの現在進行形の業界本だ。
内容が生々しい。
とはいえ、誰かを中傷したり攻撃したりするものでもなければ、金儲けのための暴露本という内容では決してない。
かといって、夢物語でもなければ、ヨイショ本でもないし、偽善でもなければ、悪意の本でもない。
あるのは、著者とその周りの人の赤裸々な現実と、著者の挫折記。
そう、挫折記的な内容ではあるのだが、読み終わって読者が落ち込んでしまうようなものというよりも、考えさせられる内容だ。
それらの内容を、今ここで抜き出して紹介するつもりはない。
興味ある方は、手にとって読んでみてほしい。
なまじ抜き出して紹介などしないほうが、読んだ時に、より生生しさを感じるだろう。
世の中、夢をかなえる人もいれば、夢がかなわなかった人もいる。
とかくこの世には、夢をかなえた人が露出し、夢をかなえた人の言葉がもてはやされる。
で、同じ「夢見る」人に勇気を与えもし、時にはそのせいで挫折をも与える。
夢なんかかなわなくても、後悔しながらも、地を這い、心から血を流しながら、好きな道を歩いてる人がいる。
夢をかなえた人の「夢はかないます」「夢はかなえるものです」「私はこうして成功しました」「貴方はこうすれば成功します」という言葉がこの世にはあふれている。
だが、夢をかなえられなかった人だっているのだ。
夢はかなえられなかったけど、好きな道を進んでいる人が。
むしろ・・現実には「夢はかないます」という甘い言葉の裏に乗せられ、現実には夢をかなえられなかった人の方が多いのだ。
でも、そういう人の言葉はこうして本になったりすることは、あまりない。
だからこそ、この本の内容は、読む人の心に直球で飛び込んでくる。
時には突き刺さってくる。
一気に読み終えた。
読んでる時、時間がたつのを忘れた。
夢と自信と未来にあふれて漫画を描き、売れっ子漫画家になることを夢見て自分なりの青写真で漫画家のアシスタントになったものの、その後の自分のふがいなさや、現実の厳しさで、どんどん時だけが流れていく。
その間に出会う、同業の人のドラマ。
自身の立ち直り。
そして・・現実。
書かれてあるのは、漫画家アシスタントの現実だが、これはなにも漫画だけではなく、他のジャンルにもあてはまる。
例えば、音楽にも。
読んで身につまされる本だ。
ジョージ秋山先生も仰っていた言葉を借りれば、この本は「凄ェ本」だ。
「現実」というものの持つ、凄みが、この中にはある。
個人的に「ドモ五郎」という、イエス小池さんの漫画、深く心に突き刺さりました。
小池さんの漫画にかける執念や、この本で描かれた「小池さんのこれまでの人生」が1コマ1コマの絵やストーリーに詰まった、執念と迫力の1作にして、魂の1作でしょう。
まさに、この本の最後に収録されるにふさわしい作品です。
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