もうかなり前のことになるが、このブログで「希望」という曲を取り上げたことがあった。
作詞が藤田敏雄さん、作曲がいずみたくさん。そして岸洋子さんが歌って、昭和の時代に大ヒットした曲であった。
そして、この記事のタイトルに、なぜ石森章太郎さんの名前も並列されてるかというと。
もちろん、それにはちゃんと理由がある。
この曲がヒットしてた当時、テレビで「祭りだワッショイ」というバラエティ番組が放送されてて、その番組の中の1コーナーに、ヒットソングに映像をつけるコーナーがあった。
思いだしてみれば、今でいうプロモーション映像みたいな映像作品だったと思う。
で、岸洋子さん歌う「希望」もこのコーナーで取り上げられ、なおかつ、その曲に映像を付けたのが石森さんだったのだ。
後年石森さんはペンネームを「石ノ森章太郎」に変えたが、この当時はまだ「石森章太郎」名義のままだった。
で、そのコーナーで流された「希望」の映像が、それを見ていた少年時代の私にとって極めて印象的で、なおかつ素晴らしい作品であった。
曲の持つ哀感と、石森さんの映像のマッチングが素晴らしく思えた。
さすが石森先生!という感じ。
だが、この映像を私が見たのは、リアルタイム放送された時の1回こっきり。
1回しか見てないにも関わらず、この作品は深く深く私の心にインプットされ、それ以来何かの機会があると、この映像を思いだしてしまっていた。
それは1回2回ではない。何度も。
そのたびに、もう一回この作品が見たいなあ・・・という思いは募っていった。
だが、その後テレビで放送されることもなく(少なくても私は見かけなかった)、復刻されたという話も聞かなかった。
一説によると、昔石ノ森さんの作品を大量復刻したボックスセットみたいなものが発売されたことがあったらしく、そのセットの中にはこの「希望」も収録されているという話は耳にしたことがあった。
だが、そのボックスセット(?)は非常に高額で、確か・・・60万円以上の値段がついたいたような気がする。
そんな金額ではとても手が出ず、その時点で私はあきらめた覚えがある。
それまで、何かの機会に「希望」が復刻されたら、もしかしたら買うかも・・ぐらいの気持ちはあったのだが、ボックスセットの値段を聞いて、完全にあきらめたのだった。
強いてあげれば、石巻市の石ノ森記念館かどこかで見れる・・・という噂も耳にしていたので、いつかそこに行く機会があれば、見たいな・・・ぐらいの気持ちがあったぐらいだ。
だが・・・。
私のブログに書き込みしてくださった方が、「希望」の映像がネット上で見れるという情報を下さり、さっそく検索してみたら・・・あった!!
これだ!これこそ、そのもの。
これが見たかったのだよ、私は。
その映像を見ながら、私の心に色々な思いが交差した。
子供の頃に、「祭りだワッショイ」というバラエティ番組でのリアルタイム放送で、たった1回だけ見たことがある「希望」に、数十年ぶりに再会できた。
感慨深かった・・・。
見ていると、子供の頃に1回だけ見ただけなので、記憶違いしてる部分もあったが、記憶通りの部分は多かった。
ということは、子供時代の私にとって、たった1回のその放送が、いかに印象深かったか・・ということを、あらためて実感させられた次第である。
特に女性がひとりで電車に乗っているシーンや、その電車が通るトンネルの映像は、目に焼き付いていた。
ただ、私の記憶が違っていたのは、この大人の女性が乗っているのが新幹線だったということ。
てっきり、蒸気機関車に乗ってると思っていたから。
とはいえ、映像の中には実写の蒸気機関車の映像も出てくる。
ということは、この女性が故郷から都会に出てきた時は蒸気機関車で、大人になって「希望を探す旅」では新幹線に乗ってる…ということか…。
かつて好きだった男性の記憶と、都会に出てきた時に乗ってた蒸気機関車の記憶を胸に秘めて。
そういう設定なのかな。
この映像作品の主人公である女性は、もし実在してたら、それなりの高齢であろう。この映像の後、この女性は「希望」に出会うことはできたのだろうか。
この後、どんな人生をおくっているのか。それは誰も知らない。
蒸気機関車も新幹線も。
ともあれ、ある意味、私にとって良い意味でのトラウマになった作品である。
今見ても・・・その哀感は変わらない。
できれば・・この作品がいつまでも見れる状態であってほしいが・・。
なぜなら、今見ても名作だと思うから。
歌にドラマがあったように、この映像にもドラマがあった。
切ないドラマが。
もし現代に、この曲が新曲で、しかもこういう映像をつけられたら・・・プロモ映像の名作として話題になるのではないだろうか。
この作品がこれまで埋もれてきたのが、残念でならない。
この機会に、色んな人に見てほしい。
仮にそこに時代性の相違はあっても、名作であることは変わらないと思う。
曲の良さもさることながら、若き日の石ノ森先生の才能もセンスも、魅力ある。
今となっては、いかにも昭和歌謡の楽曲に、昭和の実写映像、そして石ノ森先生の油がのりきった頃の映像。
「昭和遺産のひとつ」と呼びたい上質のコラボ。そう言いたい、せつない作品。
見れるうちに見ておいてください。↓
https://www.youtube.com/watch?v=96xKTQUPn9E
ちょっとググってみました。
wikiによると70年の4月から、日曜夜の8時の番組だったんですね。
(うちでは、たしか「遠山の金さん」を見てましたw)
ようつべのリンクも、見てきました。
いかにも石森先生らしい、
群集の中での女性の回想ーーちょっと切ない故郷の心象風景ーーが、
叙情的に描かれていて、心に迫るモノがありました。
お祭りの夜のデートのシーンが、泣かせてくれます。
歌詞の中で、「私の旅は終りのない旅」とあります。
この映像作品の女性、今でも人生という「旅」を続けているでしょう。
ボクたちにとっても「希望」を探す旅が、長い人生の目的の
ひとつなのかも知れません。
古い番組を検証する番組などでも、ほとんど取り上げられることはありませんし。
今では忘れられてる番組です。
なので、この「希望」の映像も埋もれてきたのでしょう。
石森先生特有の女性キャラで、ちょっと見ただけで絵柄でわかりますね。
せつない作品になってますよね。
なんとも旅情と郷愁のある作品でもあります。
我々も、多かれ少なかれ、この女性のような想いをどこかに抱えて、生きているのかもしれません。
なんて思いました、ありがとうございます!
時間の外に、ようこそ。
過去にこの映像をご覧になられたのなら、それはきっと「祭だワッショイ」というバラエティー番組だったと思います。
ただ、あまり有名な番組ではなかったので、この映像を見れた人は少なかったと思います。
そんな希少な方が来てくださって、嬉しいです。