以前、リペアから帰ってきたギター「ギブソンL-50」のことについて日記に書いたことがある。
リペアからL-50が帰ってきてからというもの、最近家ではもっぱらL-50ばかり弾いている。
このギターは、アーチトップギターと呼ばれるアコギである。
いわゆる「アコギ」には主に2種類のギターがあり、1種類はフラットトップギターであり、もう1種がアーチトップギターである。
現在、アコギというと、たいがいはフラットトップギターのことを指す場合が多い。
実際、プロのミュージシャンが使っているアコギの大半はフラットトップギターである。
フラットトップギターとアーチトップギターの違いとは何か・・を簡単にいうと、ギターのトップ材(いわゆるサウンドホールが空いている表面板)の形状が真横から見て平らになっているのがフラットトップで、形状の表面が少し湾曲になっているのがアーチトップ。
とはいえ、遠目ではその表面板の湾曲ぶりにはなかなか気づきにくいかもしれない。
実際に手に取ってアップで見るとわかることだが。
一方で、遠目で見てもわかりやすい特徴もなくはない。
それは、表面板のサウンドホールの形状で見分けやすい場合は多い。
アーチトップギターのサウンドホールは、「f」の形をしていることが多いから。
フラットトップギターのサウンドホールは板の真ん中に大きな丸いホールがあることが多い。
もちろん「f」ホール以外の形状をしているサウンドホールのアーチトップギターもあるのだが、一般的にはfホールのサウンドホールが多い。
これなどは派手な違いであり、遠目でも見分けやすい。
実際にフラットトップとアーチトップを弾き比べてみると、サウンドの傾向の違いもはっきりわかる。
そう、サウンドは両者違う傾向の特徴がある。
フラットトップギターは、例えばマーチンのD型(ドレッドノートタイプ)ギターなどは、深くて豊かな低音を持ち、音量も大きく、なおかつサスティンが長く、ゴージャスな音がする。特にマーチンギターの場合は、高音のキラキラ感もある。
それにくらべ、例えば私の持つギブソンL-50は、D型ギターに比べたら、音量はおとなしい。低音はあっさりしている。
また、サスティンはあまりない。
サスティンがない・・・というと、まるで「ならばフラットトップギターのほうがいいじゃないか」なんて声も聞こえそうだが、ところがそれはそう単純な問題ではない。
サスティンがない分だけ、歯切れが実によい。
コードカッティングをザクザクと刻む時には、フラットトップには出せない味があるし、実に気持ちいい。
リズムを刻む時のパーカッシブな特徴は非常に魅力的。
また、低音弦をミュートしながら弾くには、もってこいである。これはアーチトップギターならではの味がある。
全体的に手にもなじみやすい。
音色的には、私の印象ではアーチトップギターの音は、フラットトップギターよりも素朴にも感じるし、優しく軽く暖かい。
響き過ぎない良さ…というのもある。そう、良い意味で。
私のL.50は、アーチトップギターの中では廉価版のギターだから、そう感じるのかもしれないが。とはいえ、一応ビンテージではあるので、乾いた音がする。
そういう音色じゃないと出せない味もあり、例えばそれはジャズやブルースなどを弾くには、フラットトップじゃなくてアーチトップギターをセレクトするギタリストはいる。
わかりやすい例が憂歌団の内田勘太郎さん。
フラットトップギター全盛の今のご時世では、例えば誰かの弾き語りのライブではアーチトップギターで弾き語りをしてる人は、全く見かけないというわけではないにしろ、めったに見かけない。
そう、弾き語りのアコースティックライブでは、アーチトップギターでの弾き語りをする人は、あまりいない。
そんな中では、アーチトップギターで弾き語りしたら、逆に目立つのかもしれない。
人とは違ったギターでライブに出たいと思ってる人には狙い目かもしれない。
デザイン的にはシックで渋く、なにやらアンティークな趣すら感じる。
フラットトップが当たり前みたいになっている中でアーチトップギターで人前に出たら、新鮮にも見られるかもしれない。
ただし、前述の通り、アーチトップギターはフラットトップギターよりもやや音量は小さいので、それは把握したうえで。
フラットトップギターが全盛になったのには、アーチトップよりも音量の大きさの要素が大きかったはずだし。
アーチトップギターのデザインの魅力は多くの人が感じるとは思うが、もし初めてアコギを買う人が楽器屋でアーチトップギターとフラットトップギターを弾き比べたら、多分音量とかサスティンでフラットトップギターを選んでしまう気はする。わかりやすい違いだから。
でも、普段フラットトップギターを弾いてて、時にアーチトップギターに持ち替えると、その良さや愛着や違いを感じると思う。fホールのシックなデザインもあいまって。
アーチトップギターのこのルックスに魅力を感じて、中には高価で歴史的なアーチトップギターを集めた大富豪のギターコレクターもいたくらいだ。
とりあえず、フラットトップギターを弾く人が、アーチトップギターを弾く人とセッションする時は、音量バランスは気をつかうかもね。
時には、曲によっては、鳴り過ぎない良さのあるギターの方が向いてる場合もある。
ドーン!とかジャーン!ではなく。
ちなみにアーチトップギターには、ピックアップを装着したタイプと、ピックアップを装着してない純粋なアコースティックタイプもある。
ピックアップを装着してあるアーチトップギターは、もっぱらエレキギターとして使われており、巷ではフルアコなどと呼ばれたりしている。また、ボディが半分空洞になっているセミアコタイプもある。代表機種はギブソンのES335あたり。
ピックアップを装着することで、音が増幅され、ロックバンド内にも入れるようになった。それはアーチトップギターの音量の小ささを解決したものだ。
一方、ピックアップを装着してないアーチトップギターは、日本ではピックギターという呼ばれ方をする。だが、ピックギターという呼び方は日本でだけらしい。
ともあれ、デザイン的にアーチトップギターに魅力を感じる人は多いような気がするので、バリエーションとして持っててもいいとは思う。
そういえば、私は高価なアーチトップギターはもったことがない。なのて、機会があれば高価なアーチトップギターを弾いてみたいとは思う。
例えばギブソンのL-5なんて、どんな音がするのだろう。
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