何の気無しにCDショップに行ったら、素敵なアルバムを見つけてしまった。
こういうCDが欲しかったんだ!
それは「にほんのうた 第1集」というアルバム。
収められた曲は、そのタイトルからも分かるように、日本に古来から伝わる曲ばかり。
童謡や唱歌と呼ばれる曲ばかりだ。
ならば、由紀さおりさんがそういうアルバムをこれまでに何枚も出してるじゃないか・・というツッコミがありそうだが(笑)、このアルバムはこれまでの童謡・唱歌のアルバムとは違う。
演奏したり歌ったりしてるミュージシャンが意外。
普段、童謡や唱歌を歌いそうもないミュージシャンが、童謡&唱歌を取り上げ、自分らのセンスや解釈でカバーしてるのだ。
ざっと収録曲と、そのパフォーマーのリストを記しておこう。
1.「赤とんぼ」 by 三波春夫+コーネリアス
2. 「埴生の宿」 by キリンジ
3. 「ちいさい秋見つけた」 by 坂本龍一+中谷美紀“
4. 「旅愁」 by くめさゆり(元 久保田早紀)
5.「森の小人」 by あがた森魚
6. 「この道」 by 大貫妙子
7. 「かなりや」 by キセル
8. 「証城寺の狸囃子」 by 八代亜紀
9. 「赤とんぼ」 by 高田漣
10.「やぎさんゆうびん」 by ヤン富田( ドゥーピーズ)
11.「からたちの花」 by カヒミ・カリィ&大友良英
いや~、多彩!
個人的に嬉しかったのは、なんといっても「森の小人」。
「小人」という言葉がひっかかるからなのかどうかは知らないけど、この曲は今発売されてるどの童謡コンピレーションアルバムにも入っていなかったのだ。
この曲欲しさに、あちこちのショップで童謡のアルバムを探しまわったこともある。
だが、ついに見つけることはできなかった。
童謡や唱歌のコンピレーションアルバムが出てるというのに・・。解せなかった。
この曲は、以前、某アニメの中で流されてたのを初めて聴いてから好きだった。
それまでこの曲はず~っと知らないできた。
大人になって初めて知ったのだが、大人心(笑)にこの曲には、どうにも惹かれるものがあった。
今回このコンピレーションアルバムに入っていることを知った時は、ちょっとした感激があった。
しかも、歌ってる人が、あの「あがた森魚」さんときたもんだ!
こりゃ、一癖も二癖もあるテイクになってるに違いない!という期待を持った。
私は、あがたさんは好きだからね~。
で、聴いてみたら・・・さすが、あがたさん。調理法が違う。
例の独特のあの歌い方に、独自のサウンド。
家人にこれを聴かせたら「ストリップ小屋で流れてきそうなアレンジ」と抜かす(爆)。
私は、ストリップ小屋というよりも、ちんどん屋サウンドを思い出した。
もうちょっとリズミカルになるかな・・と思ったが、思ったほどリズミカルではなく、ゆったりとしてる。
でも、あがたさん特有のロマンのある世界にちゃんとなってるから、たまらない。
三波春夫+コーネリアス の「あかとんぼ」は、妙な世界観がある。
アレンジ(特にコードワーク)なんかはかなり凝ってるのだが、三波さんのボーカルが出てくると、どんなアレンジもタジタジ。アレンジでいくら曲を飾ったり変化させたりしても、御大の歌声が入ってくると、アレンジの方でひれ伏してしまう強さがある。
三波さんのボーカルはやっぱスゴイのだ。圧倒的な存在感があり、その声の前には、どんなアレンジをしてもかなわない。その声が出てくるだけで、空気が変わってしまう。やはり只者ではない。どうアレンジしようと、三波さんは三波さん。
キセルの歌う「カナリヤ」も実にいい。
どこか・・東南アジアあたりの民俗音楽を聴いてるような独特の味わい。
のんびり&のどかな雰囲気の中にも、そこはかとない切なさ。
こんなサウンドや雰囲気で私も曲を作ってみたい・・と思った。
めっけもの!
ヤン富田の歌う「やぎさんゆうびん」は強烈。
エンドレスで延々と続く感じで、途中から何がなにやらこんがらがってくるようなアレンジになっていて、それがこの歌の持つナンセンス感をうまく演出している。
あえてワンコードで押し通す部分もあり、そこもまた面白い。
こういうコンピレーションアルバムならではのアレンジの妙。
ともかく、買ってソンはしません。
ぜひとも、色んな人に聴いてもらいたい。
で、日本の童謡・唱歌の復権につながれば、こんな意義深いことはない。
長く続いてほしい企画だと思う。
なぜこのアルバムを取り上げたかというと。実は理由がある。
私には以前から、やってみたいと思ってたことがある。こんなのがあったらいいなと思うことがある。
それはちょっとした「夢」・・・と言ってしまったらオーバーだけど(笑)、それに近い感覚かなあ。
それはライブなのだが、普通のライブではない。
それは・・ズバリ、古くから伝わる童謡・唱歌のコンピレーション・ライブだ。コンピレーションという言葉はアルバムに使われるけど、あえてここではライブに当てはめたい。
出演者が何組も出て、ぞれぞれが童謡・唱歌をカバーする。自分流の解釈で。
曲のカブリは全然オーケー。
曲は日本の歌でもいいし、海外の曲でもいい。古来から日本に一般的に伝わってきている曲であるならオーケー。
で、持ち時間の中では、1曲はその人の通常のレパートリーも入れてもらう。
というのは、先日のケメトリビュートライブで思ったのだが、ケメトリを見てたら出演者が普段どんな歌を歌ってるのかが気になった。興味も持った。
少なくても1曲はその人の通常のレパートリーを入れることで、普段はこういう曲(←通常のレパートリーのこと)を歌ってる人が、童謡・唱歌をカバーするとこうなる・・みたいな視点で見ると、楽しさが更にアップするのでは。
ライブのコンセプトは、子供から年配の方まで楽しめるライブ。もしくは、どんな人が来ても、知ってる曲が多いライブ。
童謡や唱歌なら、皆知ってる曲は多いだろうし。
で、教科書からだんだん削られ、失われつつある童謡や唱歌のささやかな復権。
古来から伝わる伝統曲を皆で大事に残してゆこうよ・・そんなテーマ。
問題は・・・はたしてこういうライブをやった場合、出てくれる出演者はいるだろうか?ということと、お客さんは来てくれるか?ということ(笑)。この趣旨に賛同してくれる方はいるだろうかという不安もある。物好きな趣旨だろうし。
やっぱり、ハードルは高そうではある。かなり「変化球」なライブになりそうだからネ~。
でも・・やってみたい。いつか。そう、何年先のことになるか分からないけど、いつか。元気なうちに。
何より、私自身がそういうライブを見たいから。まあ、私のわがまま・・と言ってしまえば、それまでなんだけど。
とまあ、こんな妄想を長年抱き続けている私なのです。
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