自分が聴いたことがなくて、なおかつそそられるバンドやアーティストがいたら、その音楽を新たに聴いてみたい・・・そんな気持ちを常に持ち歩いていた学生時代の私は、ある日、レンタルレコード店で、ちょっとバンド名に惹かれるバンドを見つけた。
それは、リトルリバーバンドという名前のバンドだった。
なんという覚えやすく、分かりやすいバンド名。なにやらチャーミング。
リトルリバーバンド・・・さしずめ、これが日本人なら「小川バンド」だなあ・・・などと思いながら、そのバンドのLPを借りてみた。
それが私がリトルリバーバンドと出会ったきっかけであった。
そう、取るに足らないきっかけ。
当初、「リトルリバーバンド」という名前には、どこかアメリカのウエストコーストロックっぽい響きを感じたのであった。
当時私は、アメリカのウエストコーストロックには、目がなかった。中古レコード店などに行こうものなら、ウエストコーストロックっぽい雰囲気を感じた「まだ自分が聴いたことがないバンドやアーティスト」のアルバムが安く売られていると、すぐに第六感で買いこんでいた。
リトルリバーバンドも、そんな乗りで聴いてみようと思ったのだった。
で、聴いてみたら、「さわやかなコーラス」をはじめとする、「私の好みのウエストコーストロック」らしい雰囲気は、確かにあった。
ただ、私が当時いつも聴いていたアメリカウエストコーストロックに比べると、少し違った。
アメリカのウエストコーストロックによくあった、「カラッと乾いた感じ」ではなかったのだ。
アメリカのウエストコーストロックには、・・なんというか、太陽がカーッと光って、良く晴れて広がった青空みたいなものがサウンドや楽曲の背景に見え隠れしてるように思えた。
だが、リトルリバーバンドの場合は、バックに広がるのは、やや雲が出てる空・・・とでも言おうか。
で、調べてみたら、てっきりアメリカのウエストコーストバンドかと思ったら、リトルリバーバンドは実はオーストラリアのバンドであることが分かった。
私が好きだったアメリカウエストコーストロックに相通じるものはありながらも、どこか曇り空・・・そのへんが、違いかなとも思ったが、全体的にはリトルリバーバンドは私の好みのサウンド、楽曲であった。
話によると、リトルリバーバンドは、当時人気のあったAORというジャンルで捉えられることもあったようだ。
AORは、ボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェルなどが代表的なアーティストで、本国アメリカではともかく、日本では「アダルトオリエンテッドロック」の略として知られ、「大人向けのロック」という意味で捉えられていたと思う。
AOR・・というと、いかにも売れ線狙いのようで軟弱に聴こえてあまり好きじゃない・・・というロックファンが私の周りには何人かいたが、私はAORには特に苦手感は持っていなかった。
そのジャンルは私はとりわけ好きというほどではなかったが、かといって嫌いでもなかった。私はともかく、曲やサウンドが自分好みであれば、それでよかった。
で、リトルリバーバンドであるが、私はアメリカのウエストコーストロックに相通じるものは感じ、一時期、当時ウォークマンで、学校への行き帰りにさかんに聞いていたのだった。
けっこう好きな曲はあったが、中でもこの「追憶の甘い日々」は特に好きな曲だった。
趣味で作曲をやる私としては、この曲のメロディラインのエッセンスはかなり魅力的に思えたし、自分では自覚してなくても、無意識のうちにソングライティング上で私はこの曲のメロディの流れからは影響は受けていた・・・と思っている。
派手さはなくても、一発でこの曲のイントロと分かる印象的なイントロフレーズ。
ボーカルメロディの出だし部分のメロディの流れとコード。
おしゃれで洗練されたサウンド。
そして、お馴染みの綺麗なコーラス。
この曲に関しては、リトルリバーバンドが当時AORとして捉えられたのは分かる気はする。だが、AORであるかどうかなどは、私にとってはどうでもいいこと。
言えるのは、この曲が実に魅力的であったということ。
この曲に関して、私の中でややひっかかる点があるとすれば、ちょっと邦題が甘すぎたかな・・・ということぐらいかもしれない。ピンポイント的に言えば、文字通り「甘い」という言葉が。
だが、邦題に関しては、リトルリバーバンドには何の責任もない(笑)。
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