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ちょっと前のことになるが、三国志ファンの一員としては、昔から気になっていた場所に、行ってきた。
日帰りの小さな旅・・・そんな感じだったかもしれない(笑)。
その場所とは、横浜の中華街にある「関帝廟(かんていぴょう)」。
そう、三国志のあのスーパースター関羽将軍が祀られている場所だ。
言わば、関羽将軍に会ってきた・・・・そんな気分になれる場所だ。
みなとみらい線の中華街駅で降りると、そこはもう中華街。
中華街に行くのは初めてではなかったのだが、以前行ったのはもうずいぶん昔。
なので、新鮮な気持ちで現地に出向くことができた。
地下鉄の駅を降り、階段を上り、地上に出てみると・・・人・人・人。
いやはや凄い賑わい。
中華街の道を歩き始めたのだが、人が多すぎて中々進めない。
しばらく中華街をうろついているうちに、目的地の関帝廟に到着。
なんて立派な門、なんて立派な屋根。そして、なんと絢爛豪華な装飾。
ここに関羽将軍がいると思うと、心がはやり、足が軽やかに進む。
すると・・・奥の方に、始皇帝みたいな冠をかぶった関羽将軍の像が。
そして、左右にも従者らしき2名の人物の像もあった。
その2人の従者らしき人物が一体誰であるかは、三国志ファンにはすぐにピンとくるだろう。
私にもすぐ分かった。
もちろん、こちら側から見て、真ん中の関羽将軍の右側(関羽側から見れば、左側)に立っている人物は、関平。
そして、こちら側から見て、関羽将軍の左側(関羽側から見れば、右側)に立っているのは、周倉。
この像での周倉は、色が黒く、暴れん坊っぽい感じで、どこか、張飛を連想させられる。
だが、張飛は関羽とは義兄弟であり、決して関羽の配下ではない。あくまで同格扱いになる。なので、いくらこの像が張飛に似てようと、それは張飛ではない。
周倉は、元々は山賊の親分であった。なぜか、泳ぎが得意でもあった。
彼は当時天下に鳴り響いていた関羽の噂を聞いてから、ずっと関羽に仕えたいと思っていた。
それがある時、周倉の根城の近くを関羽一行が通りがかることを聞き、急いで関羽のもとにかけつけ、関羽の前に現れ、礼をつくし、嘆願もして、関羽に仕えるという夢をかなえてもらったのだ。
それ以来は周倉は関羽一筋。常に関羽の傍にいて、関羽に忠誠を尽くした。最後も関羽に殉じた。
だが、周倉という人物は、架空の人物ともされている。
一方、関平という人物は関羽の養子であった。
関羽には実子もいたが、関平は実子以上の孝行を尽くし、生涯関羽に尽くした。
なぜか、この関帝廟での関平は、文官っぽいイメージで像が作られている。
周倉がいかにもマッチョな武官という感じの像なので、その対比として関平はあえて文官っぽく作られたのかもしれない。
周倉にも関平にも共通するのは、2人とも関羽を心から慕っており、関羽の大大大ファンだったということ。関羽に仕えてからは、生涯関羽に忠誠を尽くしたという点だ。
それゆえ、こうして関帝廟では、関羽の両脇に像となって祀られている。2人にとっては敬愛する関羽の傍にこうして永遠にいられるわけだから、無常の喜びであろう。
よかったね、周倉さん、関平さん!
関羽は、三国志のあまたの登場人物の中でもトップクラスの人気と武芸の持ち主。鬼神並みの強さを誇った。
だがその一方で、義理に厚く、信義を重んじる人。そんな点が、「商売の神様」としてあがめられる理由になったらしい。
関羽は、主君には忠義を尽くし、裏切らない。そして、自分を慕ってくる民には優しかったが、そのプライドの高さから、対峙する相手を見下すようなところもあったらしい。そんな点を敵に(この場合、呉の呂蒙)に突かれて破れて、最後を迎えた。
関羽は、呉軍に敗れて、命を落とした後、祟り霊としてあちこちに出現したという。
それゆえ、関羽の怨霊を恐れた人たちによって、神として祀られたともいう。
だがその後は「商売の神様」として、長年人々に愛されてきている。
三国志は、史実を元にした歴史文学であり、多数の登場人物が出てくる。
そして、多数の人物が魅力的に描かれているが、関羽は三国志のあまたの登場人物の中でも、人気度では諸葛孔明と並んで1位2位を争う人物である。
だが、正式に(?)神あがりをした人物は、関羽だけである。孔明でも、それはなかった。
そういう意味では、関羽は、三国志の中でも特別な人物であり、破格の扱いを受ける人物なのだ。
そんな関羽が神として祭られている、関帝廟。
三国志ファンなら、誰でも気になる場所・・・それが関帝廟であろう。
なんか、物語上のスーパーヒーローが実在した人物で、しかも海を越えた日本で、目の前で銅像として存在している・・・それは少し不思議な感覚であった。
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