世界遺産の場所が年々増えている。
ひとたび世界遺産に認定された場所は、観光客がそれまでよりも多く訪れることになり、経済効果は大きい。
今や「世界遺産」というのは一種のブランドみたいな印象を受ける。
私は世界遺産というコンセプトには賛成派であるので、日本に世界遺産が増えるのは、それなりに嬉しく思っている。
というか、個人的には、日本のあの場所も世界遺産にしてほしい・・・と思う場所もあったりするぐらいだ。まあ、その反面、ずいぶん数が増えていってるなあ・・とか、最近増えすぎかなあ・・・という思いもあるけれど。
昔、まだ世界遺産という言葉がなかったり、あるいは今ほど一般的ではなかった頃は、国立公園という名称が、旅先選びをする場合に一種の引力を持っていた。
だが、世界遺産が増えるにつれ、国立公園という名称の引力が少しかすんできているような気がしている。
国立公園よりも、世界遺産のほうがありがたい・・とか、価値が高いとか、そんな空気があるような気もしている。
どちらも保護の対象であるのは変わらないのだが。
世界遺産は、自然景観だけでなく、文化遺産や、負の遺産、複合遺産など、国立公園よりも幅が広い。
ちょっと調べてみたのだが、ウィキペディアによると、国立公園というのは「 特別な自然現象の保護を主目的として管理される地域」ということらしい。
世界遺産は自然景観だけではないのに対し、国立公園は自然風景がその名称の対象。
いわば、もし国立公園が全て世界遺産になったら、国立公園というのは自然遺産のカテゴリーに入る場所なのだろう。
もちろん、世界遺産にはなっていない国立公園は実に多い。
かといって、世界遺産になってない国立公園の価値が落ちるなどということはない。
ただあまりに世界遺産のブランド力が大きくなり、国立公園という名称の価値が最近少し地味目に感じられるのは寂しい。それとも、そう感じるのは私だけなのだろうか。
私は、数ある世界遺産の中でも、自然遺産が一番好きだ。あ、自然と文化の調和の複合遺産も好き。複合遺産は、自然景観の要素も大きいからね。
だから、自然に特化した「国立公園」という名称の尊厳には、もっともっと再評価されてほしいと思う。
たとえ世界遺産になっていなくても、日本の美しい自然風景として誇りたい国立公園はたくさんあるからね。
もっと、国立公園の名称の価値やありがたみが上がってほしいと思う。
世界遺産ブランドに(?)ひけをとらず。